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2010年01月23日

【21世紀経営クラブ】経営ワンポイント情報・不易流行『どこから見るかで景色は変わる』

顧問先のS社長と「今は不景気だろうか」ということが話題になった。S社長いわく「お客様を訪問しても、厳しい話が多いが、何も行動しないで、自ら進んで価格競争に入り、価格が安い、条件が厳しいと言って嘆いている人が実に多い。お客様のことを何も知らないで、自分の技術や商品の研究や挑戦を何もしないで、厳しい、辛いと言っているのを聞くと悲しくなる。

厳しいなら、営業の幅を広げるとか、今まで扱っていない商品の研究をするとか、やることはいくらでもあるのに、やっている節はない。やみくもに新規開拓しても足元を見られて異常な価格提示を求められ憤慨するのは逆効果だ。当社はおかげさまで好調に推移している。いまは、足元をきちんと見つめて、やるべきことを実直に行い、お客様に喜んでいただくよいチャンスだと思っている。今日のこの日が有るから、素直に謙虚になれるし、工夫研究する。頭と心はいくら使ってもよくなることはあっても悪くなることはないので思いっきり使えと言っている。今ほどチャンスの多い時はないのではないか」と言う意見だった。

全く同感である。松下幸之助氏は不況は贅肉を取るための注射で有り、今より健康になるための薬で、物の価値を知るための得難い経験であるから、いたずらにおびえるものではないと喝破しておられる。現在から未来を見ると乗り越えられないような高い高い絶壁がそびえているように感じるかもしれないが、横から見れば壁の裏には一面の花園である(かもしれない)。正面からぶつかるには危険かもしれないが、少し遠回りになるが越せない高さではない。壁の向こうにある山の頂上から見ると、多くの人々が絶壁の前で嘆き悲しみ諦めているが、自分を信じて、自らを律して、訓練を怠らず、要領をかまさず、自分の力で、一歩一歩前進してくる大軍を目にすることができる。

今は、不況や不景気では決してない。今までの平坦な道に突然巨大な絶壁が立ちはだかり、このまま進んでは危険だと、道を変えるよう促してくれたのである。マスコミの総悲観一色の風潮にごまかされることなく、足元を見つめて、一条の光がさしている道を目指して進んでゆこう。

by 21世紀経営クラブ ㈱目加田経営事務所 目加田博史


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【21世紀経営クラブ】経営ワンポイント情報・不易流行『2010年からのグローバリゼーション』

顧問先の業績を見ていると、グローバル化している取引先が多ければ多いほど業績が安定している傾向がある。内需関連企業が取引先の中心となっている企業は先行きが全くと言って良いぐらい見えなくて、とても苦戦している。

グローバル化している企業の中でも、リーマンショック以来、BRIC'Sを始めとして、東南アジア地域に営業の重点を移している企業は非常に好調な業績を上げている。一方、欧米を主とした先進国を市場にしている企業は多いに苦戦している。こうなると、一口にグローバル化と言っても、意味が全く違ってくる。さらに、コスト競争力のある国で生産するだけでなく、新興国で販売できる商品力と営業体制を構築した企業はもっと絶好調である。
海外で生産しているだけでは、グローバル化とは言えなくなっているし、場合によっては、業績の足を引っ張っている企業もある。
競争力のある国で生産して、販売からアフターまで行って初めてグローバル化だと言える時代になってくる。かっては優秀企業だったが、環境変化について行けず、競争力を落とした取引先に依存して、心中しないように、改めて取引先を見直して、勢いのある企業のウェイトを増やしましょう。


by 21世紀経営クラブ ㈱目加田経営事務所 目加田博史

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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<緊急版>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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【緊急版】
あなたの会社の手元流動性は十分でしょうか?
セ-フティネット活用で、平均残高を月商の1ケ月以上確保しましょう!

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地方中小企業を取り巻く環境が大変厳しいところに、某自動車メーカーが、収益改善プロジェクトを立ち上げて、益出しに懸命。ますます、上場企業や大企業から仕事を請けている地方中小企業に、“変動費“のカットで大きなコストプレッシャーや発注取り消しが舞い込んできており、全社非常事態宣言の下、全社員総力戦で取り組まねばならない昨今です。
そのような中、地方中小企業の緊急の経営課題は、“資金繰り中心の経営”に尽きます。つまり、貸借対照表を見詰めて、手元流動性を抜本チェックし、本来の運転資金の回転日数管理をしっかり取り組むことです。その上で、企業の存続のために、顧客基盤、商品・サービス基盤、人材基盤等の経営体質を総点検し、改革することが求められます。余談になりますが、例えば、あるレストランチェーンは、顧客志向の大衆価格政策を維持する傍らで、厨房改革を進め、製造業のセル生産的思考を取り入れ、調理手順の標準化や作業導線を大幅に短縮し、売上原価低減を進めています。そういう意味では、同業種に学ぶより、異業種に学ぶことが大きな発想の転換につながることでしょう。

ところで、ここ最近、金融機関が中小企業等に対する貸し渋りを防止すべく、金融庁が検査強化をすることが報ぜられています。これは要注意です。地方銀行の多くが、平成21年3月期に赤字決算を余儀なくされる中、融資の姿勢は実際に硬直化しています。
特に、平成19年10月1日から信用保証協会において、「責任共有制度」を導入されました。この責任共有制度により、金融機関と信用保証協会が責任共有を図りながら、連携して、中小企業者を資金面から支援していくものです。
例えば、これまで、信用保証協会に持ち込まれていた案件で、中小企業向けの融資金額に関して100%の信用保証をしていましたが、責任共有制度の導入によって、常時使用する従業員数が20名以下(商業・サービス業は5名以下)の小規模企業者向けの融資等に関する信用保証を除き、信用保証協会が80%、金融機関が20%の割合で責任を共有することとなりました。今まで、信用保証協会の信用保証付き融資であれば、まったくリスクを持たなかった融資に一定の足かせがはめられたのです。

このような状況の中で、“資金繰り中心の経営”でまず、イの一番に心得たいことは、手元流動性の十分な確保です。手元流動性とは、現金・預金と、1年以内に売却期限や償還期限を迎える有価証券の合計額です。

手元流動性 = 現金・預金+1年以内に売却期限や償還期限を迎える有価証券

つまり、流動性は“現金相当物”であり、日本の上場企業の手元流動性は、月商の約1ケ月から1.5ケ月と言われており、支払い能力の高さを表しています。もちろん、地方中小企業も例外ではありません。毎月、できれば、代金支払い等の買掛金や給与等の
未払費用等の運転資金を差し引いた後の手元流動性の平均残高ベースで、1ケ月は最低確保してください
 手元流動性がおぼつかなければ、経営改革やましては日常の顧客満足度の追求に集中できないでしょう。だからこそ、経営者が先鞭を付けて、売掛金や棚卸・仕掛品の圧縮と月商または日売に対する回転日数の短縮化、仕入れの圧縮と回転日数の延長化など、手元流動性の確保に大号令を出す時です。
 それでも運転資金が必要な場合、平成20年10月末、中小企業庁の金融サポート策があります。業況の悪化している業種(全国的)に525種類を指定し、多くの業種に、先の責任共有制度の足かせが緩められたセーフティネット保証制度を利用して下さい。
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セーフティネット保証制度(中小企業信用保険法第2条第4項)

1号:連鎖倒産防止
2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
3号:突発的災害(事故等)
4号:突発的災害(自然災害等)
5号:業況の悪化している業種(全国的)
6号:取引金融機関の破綻
7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡

 この制度は、取引先等の再生手続等の申請や事業活動の制限、災害、取引金融機関の破綻等により経営の安定に支障を生じている中小企業者について、保証限度額の別枠化等を行う制度です。

保証限度額
(一般保証限度額)
 普通保証 2億円以内
 無担保保証 8,000万円以内
 無担保無保証人保証 1,250万円以内 + (別枠保証限度額)
 普通保証 2億円以内
 無担保保証 8,000万円以内
 無担保無保証人保証 1,250万円以内

特に、セーフティネット保証制度の第5号:業況の悪化している業種(全国的)では次のいずれかの要件を満たす中小企業者を対象にしています。

(1)指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の平均売上高等が前年同期比マイナス3%以上の
   中小企業者。
(2)指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、
   上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者。
(3)指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間(算出困難な場合は直近決算期)の平均売上総利益率
   又は平均営業利益率が前年同期比マイナス3%以上の中小企業者。            

計算例:最近3か月の平均売上総利益率が33%で、前年同期が35%だった場合
(35-33)/35×100 = 5.7%              
 5.7% ≧ 3% (認定基準クリア)

いずれにしても、プロパー融資が困難で、これまで可能であった借り換えも厳しい融資姿勢が出てくる中で、この信用保証枠は借り換えや条件変更にも使える対策となるでしょう。各都道府県等の信用保証協会へすぐに、ご相談下さい。特に、以前の貸し渋り資金の時も最初は門戸が広かったものの、そう長くたたないうちに、門戸が狭められた事実がありますので、いつでもできると油断なさらないで・・・。


by 21世紀経営クラブ 株式会社オリナス 谷口行利


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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<17回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;臨時幹部会で、株式会社イケルの再生計画の概要が説明された。経営責任を取り、池瑠社長が取締役会長に退く出処進退が示されたとともに、池瑠幸一課長を社長に、かつ、それぞれの取締役や幹部の今後の人事等が示され、経営者の交代と経営の承継への方向性が内部決定。いよいよ全社員の前で発表されることになった。
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事業再生は金融機関との折衝が成功することで終わるのではない。むしろ、少なくとも2年間は新規融資が期待できない経営環境下での、困難を伴う再生計画期間の始まりだ!


~池瑠社長、取締役、幹部、従業員が揃う全体会議にて~

(経営者 池溜氏) 
皆さん、毎日ご苦労さま。忙しい中に集まってもらったのは、ほかでもない我が社の経営問題のことです。皆さんには、かねてからの売上減少から、賞与削減を強い、かつ、仕入れや経費の大幅削減も要請し、かなり厳しい思いをさせていることで、経営者として、責任を痛感しております。
 今回、メイン銀行から公的な再生支援組織である再生支援協議会の紹介を受け、メイン銀行のご理解の下、専門家の経営コンサルタント谷先生にご協力頂き、お取引先やお客様に迷惑をかけない私的整理の枠組みによる再生計画を策定することになりました。当分の間、金融機関さんには借入金の返済を猶予頂き、企業を立て直すことになります。
そのため、経営者の責任も明確にする必要があり、私は私財を売却して、債務を一部返済し、かつ、社長を降り、取締役会長に退きます。そして、困難を伴う再生計画期間を乗り切る社長には、取締役会や幹部会のメンバーの了解も受けて、池瑠幸一課長に引き受けてもらいました。彼をリーダーにして、時代に対応できる新しい組織体制でスタートをします。これまで、取締役会の皆や店長等の幹部の皆さんと再生計画を一緒に検討してきました。これからの5年間の再生期間で、再生計画の利益次第ではもともとささやかな賞与も出せるかどうかわかりません。それでも、従業員の皆さんとより一層頑張っていきたいと思います。どうぞご支援下さい。
ここで、再生計画の策定にあたり、ご支援を頂いている経営コンサルタントの谷先生に一言お話を頂きます。

(経営者 池溜氏) 皆さん、毎日ご苦労さま。忙しい中に集まってもらったのは、ほかでもない我が社の経営問題のことです。皆さんには、かねてからの売上減少から、賞与削減を強い、かつ、仕入れや経費の大幅削減も要請し、かなり厳しい思いをさせていることで、経営者として、責任を痛感しております。 今回、メイン銀行から公的な再生支援組織である再生支援協議会の紹介を受け、メイン銀行のご理解の下、専門家の経営コンサルタント谷先生にご協力頂き、お取引先やお客様に迷惑をかけない私的整理の枠組みによる再生計画を策定することになりました。当分の間、金融機関さんには借入金の返済を猶予頂き、企業を立て直すことになります。そのため、経営者の責任も明確にする必要があり、私は私財を売却して、債務を一部返済し、かつ、社長を降り、取締役会長に退きます。そして、困難を伴う再生計画期間を乗り切る社長には、取締役会や幹部会のメンバーの了解も受けて、池瑠幸一課長に引き受けてもらいました。彼をリーダーにして、時代に対応できる新しい組織体制でスタートをします。これまで、取締役会の皆や店長等の幹部の皆さんと再生計画を一緒に検討してきました。これからの5年間の再生期間で、再生計画の利益次第ではもともとささやかな賞与も出せるかどうかわかりません。それでも、従業員の皆さんとより一層頑張っていきたいと思います。どうぞご支援下さい。ここで、再生計画の策定にあたり、ご支援を頂いている経営コンサルタントの谷先生に一言お話を頂きます。
(経営コンサルタント 谷氏)
ご紹介頂きました谷です。ご縁を頂きまして、ありがとうございます。池瑠社長からお話頂きましたように、株式会社イケルは再生支援協議会の支援の下で、再生計画を策定しています。これは、取引先やお客様に迷惑をかける俗にいう倒産とか、法的整理ではありませんので、ご安心下さい。ただ、メイン銀行も含め、5行の金融機関に借入金返済の繰り延べを要請し、ご迷惑をおかけしますので、納得の得られる再生計画を策定し、了解の下で、再生計画をスタートさせなければなりません。 その再生計画も、社長や幹部の皆さんと検討してきました。
社長からの私財提供や経営責任の明確化さらには新規事業の譲渡や本業重視の経営戦略への回帰等が決定し、金融機関が納得できる再生計画に仕上がったと思います。
再生計画は、金融機関の折衝のために必要ですが、もっと大事なことは、再生計画を策定する過程で困難の荒波を乗り越える経営者や幹部、従業員の皆さんの絆を深めることです。この後、新社長になる池瑠幸一課長から、今後の経営戦略と体制についてお話を頂きますが、どうぞご協力をお願いします。

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
池瑠です。お疲れ様です。社長と谷先生からのお話に驚かれていると思います。私たち中堅幹部もそうでした。ただ、これまでの状況から決して会社が順調でなかったことはご理解頂いていたと思います。
幸い、相談会社10社に1~2社程度しか条件に当てはまらない再生支援協議会の支援の枠組みを活用でき、谷先生もおっしゃって頂いたように、きちんと説明できる再生計画が策定できたと思います。ただ、例えば5年間という再生計画期間中は、再生計画達成のため、お互いに、厳しい価値判断基準で仕事に邁進しなければなりません。一方、私は株式会社イケルを思う気持ちは誰にも負けませんが、新社長になる身としてはわからないことだらけです。皆さんのご協力をよろしくお願いします。では、我が社の今後の経営方針や体制の概要をご説明します。
1) 今後、株式会社イケルは本業重視の経営戦略に回帰します。新規事業の「衛星放送とe-ラーニング事業の受験予備校」は事業譲渡します。
2) 株式会社イケルの経営責任を明確にするため、池瑠社長が取締役会長に退かれるとともに、役員報酬を六分の一に大幅削減されます。
3) これまで株式会社イケルで絶大なる貢献をして頂いた武取締役と藤取締役が株式会社イケルの取締役を退任され、新会社を設立。
先ほど述べた株式会社イケルの新規事業「衛星放送とe-ラーニング事業の受験予備校」を引き継いで頂きます。これから、お二人とは、新しいパートナーシップ関係です。
4) 私の社長としての経験不足分を補うため、取引先の信任が厚く、顧客も良く知っておられる川取締役に常務取締役の任を受けて頂き、また、定年退職を迎えられる其池部長には嘱託顧問として引き続き経営管理を指導して頂きます。
5) それ以外の重要な体制としては、営業統括の取締役に、村田店長。本店部長に、山野店長。課長として、尾島店長、串間店長。経理体制は、其池顧問のご指導の下、管理部門の課長として、山田係長にそれぞれお願いします。幹部陣の体制は以上の通りです。いずれも社長や常務、取締役、部長、課長を担って参りますが、責任重大です。
皆さんが働いて頂いている株式会社イケルを再び安定軌道に乗せるため、再生計画期間中のご協力を何卒よろしくお願いします。

                     ~一同、うなずく~          (続く)

【まとめ】経営者交替、企業の承継がスムースであれば、再生計画も半ば成功!
1. 新旧経営者交替の際に、現経営者の果たすべき役割は非常に大きい。中小企業の場合には、古参の幹部をどう処遇するか、されるかは大きな意味を持つ。しっかりとコミュニケーションし、新経営体制に禍根を残さないことだ。
2. 新経営者がバトンを受ける際には、経営者の“私心を捨て、職務に対する誠実さ”を旨とする。人事の背景にある経営者の心が全員の気持ちに届いた時、再生計画は半ば成功する、と言っても過言ではない。

by 21世紀経営クラブ 株式会社オリナス 谷口行利


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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<16回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;池瑠社長、後継者の池瑠課長、経営コンサルタントの谷氏が協議し、池瑠社長が、会社の遊休不動産や個人所有の不動産を任意売却で処分し、借入金の返済に充当。そして、代表取締役社長から取締役会長に退く一方で、池瑠幸一課長が、代表取締役社長に就任、さらに、古参の幹部の処遇等が固まった。
いよいよ、債権者への説明会を実施する前に、次期の経営の承継を社内に宣言する時を迎えた。
再生の現場ではリストラの苦痛を伴う。二次破綻を防ぐためには、債権者を納得させるだけでなく、次代の役員、従業員のモチベーションを維持し、
社内意思統一を計れるかが重要だ!
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~明日夕方の会議を前に、池瑠社長と次期社長の池瑠課長そして経営コンサルタントの谷氏、古参の取締役や幹部候補生を中心に、主要なメンバーでの会議が行われた~


(経営者 池溜氏)
皆揃っているかな。じゃあ、ごくろうさま、早速、臨時幹部会を開催したいと思います。
明日の全体会議を前に、これまで私を支えてくれた取締役会の皆や店長等の幹部の皆さんに、私の所感を述べ、是非、協力をして頂きたいと思います。
わが社が再生計画を策定し、金融機関の皆さんにリスケジュール等の支援に合意を頂く必要があるのはすでに申し上げています。再生計画は皆さんと協議して納得が得られるものができそうです。しかし、再生計画を策定しなければならない我が社にしてしまった肝心の経営者責任を明確にしなければなりません。
さらに、株式会社イケルの再生計画は、“金融機関を説得するための計画”ではいけないと考えています。
ここに、皆さんに、集まってもらったのは他でもありません。
株式会社イケルの再生計画の策定を通じて、未来の株式会社イケルへのバトンタッチと未来を保証する経営を推進してもらいたいと願い、ここに私の経営責任を明確にするとともに、出処進退をはっきりさせたいと思います。


~出席者が、固唾をのみ、社長を注視している~

私は、再生計画の策定において、会社の遊休不動産の処分に加え、個人所有の不動産を任意売却で処分し、借入金の返済に充当するとともに、代表取締役社長から取締役会長に退きます。役員報酬も月額120万円から20万円にさせてもらいます。本来は、完全に退かなければならないと思いますが、株式会社イケルの連帯保証人は逃れることはできません。
そこで、その後の体制を谷先生と私の息子の池瑠幸一課長が協議し、今後は、幸一課長が株式会社イケルの代表取締役社長として経営責任を全うしていきます。
会社が順風満帆であれば、ワンクッションおいて、社長にと考えていたが、中小企業の経営者と会社は一蓮托生・・・まして、再生に直面している厳しい会社を、他人様、つまり、これまで私を支えてくれた幹部の誰かに託すわけにはいかない。
そうだね、幸一課長?

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
はい、その通りです!

(経営者 池溜氏)
うむ!これまで池瑠幸一課長は一般的な雇用関係で、金融債務等の連帯保証人ではなかったが、これからは代表取締役として会社の代表さらには個人として身体を張っていくことになる。幸一新社長の報酬は月額60万円だが、このうち30万円は“仮受金”のようなものだ。再生計画にメドが立つときに、自分を担保にニューマネーを借りる最低の年収もなければならないし、会社の一時的運転資金に供する資金もなければならない。あくまで金融期間の合意が前提だが、5年間で1800万円積み立てることになる。そうですよね、谷先生?

(経営コンサルタント 谷氏)
そのとおりです。

(経営者 池溜氏)
ありがとうございます。これまで、私を支えてくれた川取締役、藤取締役、武取締役、其池部長は私の気持ちをわかってくれるか?そして、村田店長、山野店長、尾島店長、串間店長!再生期間中、再生計画を達成するために、現場を預ける君たちには“針の筵の上”で仕事をしてもらわないといけない。わかってもらえるだろうか?
 
~一同、うなずく~


(川取締役)
もちろんです、社長!


(経営者 池溜氏)
本当にありがとう。皆に苦労ばかりかけるな。
そこで、池瑠幸一新社長での体制の相談だが、其池部長は年齢的なものもあるし、私が第一線を退くときは退職したいと申し入れがあった。また、再生計画の策定で、新規事業だった「衛星放送とe-ラーニング事業の受験予備校」を事業譲渡することになっている。
その事業を武取締役が独立して、藤取締役とともに、引き継ぎたいと言ってくれているそうだ。こんなに嬉しいことはない。
本部も問題ないと言っているし、彼らが、新会社を設立した後、手続きを踏んで、事業譲渡したい。

(武取締役、藤取締役)
社長、心得ております。

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
川取締役、其池部長に、私からお願いがあります。川取締役は取引先の信任も厚いし、古い顧客も良く知っておられます。常務取締役として、私を支えて下さいませんか?それから、其池部長、まだまだ経営管理はこれからです。嘱託顧問として引き続き指導して頂けませんか?

(川取締役)
わかりました。武取締役、藤取締役がそういう決意で、私がお役に立てるのならば、微力を尽くします!

(其池部長)
私もです。このままでは、株式会社イケルに申し訳ない・・・。

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
ありがとうございます。どうぞよろしくご指導下さい。併せて、村田店長は営業統括の取締役としてマーケティングとマネジメントにあたらせたいと思います。
そして、山野店長は部長として、年商5億円の本店をマネジメントしてもらい、尾島店長、串間店長は課長として、各店3億円を目指す基盤づくりに取り組んでもらいたいと思います。 経理体制は、其池顧問のご指導の下、若手の営業業務の責任者をやってきた頭の切れる山田係長を課長に登用して、総務経理と営業業務を統括する管理部門を
統括させたいと思います。そして、これからは攻めのマネジメント体制を作りたいと思います。今まで不十分だったPOSデータや顧客様毎の買上履歴やフリークエントプログラムも、村田新取締役や店長が常に活用できるようにしていきたいと思います。

(村田店長)
わかりました。お任せ下さい。諸先輩たちの功績をけがすことなく、しっかりと取り組みます。なあ、皆!

(山野店長、尾島店長、串間店長)
もちろんです!       
                                                     (続く)


【まとめ】経営者交替、企業の承継がスムースであれば、再生計画も半ば成功!
1.
新旧経営者交替の際に、現経営者の果たすべき役割は非常に大きい。中小企業の場合には、古参の幹部をどう処遇するか、されるかは大きな意味を持つ。しっかりとコミュニケーションし、新経営体制に禍根を残さないことだ。

2.
新経営者がバトンを受ける際には、経営者の“私心を捨て、職務に対する誠実さ”を旨とする。人事の背景にある経営者の心が全員の気持ちに届いた時、再生計画は半ば成功する、と言っても過言ではない。


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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<15回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;
最終的な経営体制を含めた合意形成の会議を翌日夕方に控え、その草案づくりのため、池瑠社長と後継者の池瑠課長、経営コンサルタント谷氏が協議している。経営者の責任の後、スムースに経営者の交替と経営の承継を行うために・・・。
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中小企業の企業承継では「経営の承継」、「経営者交替」は重要ポイント。ここで人心を掌握できるかが決まる!


(経営コンサルタント 谷氏)
じゃあ、時間がありませんので、次の経営の承継、組織の件を協議しましょう。
これまでの経緯から、金融機関への「経営責任」としては、池瑠社長が、会社の遊休不動産や個人所有の不動産を任意売却で処分し、借入金の返済に充当されるとともに、代表取締役社長から取締役会長に退かれる。一方、池瑠幸一課長が、代表取締役社長に就任するという案でよろしいですか?

(経営者 池溜氏)
結構です。異論はありません。

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
会社と私の人生が一蓮托生になる責任の重さは覚悟しています。

(経営コンサルタント 谷氏)
報酬についても決めておきましょう。

(経営者 池溜氏)
谷先生、これまでは二人の月額報酬は合計160万円です。内訳は私が120万円、幸一が40万円でした。金融機関の皆さんへのケジメとして、今後は、50%カットの80万円にしたい。私見では、私は年金が出ますし、月額20万円で、幸一社長は月額60万円でと考えますが、如何でしょうか?

(経営コンサルタント 谷氏)
 池瑠課長は如何です?

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
プロジェクトの役員報酬からみると総額はそうなると思います。でも、池瑠社長がそこまで言われるとは・・・。池瑠社長は、本当にそれでよろしいのですか?

(経営者 池溜氏)
もちろんだ。君が社長になって、今後の会社の信用の裏付けにならないといけない。再生期間が過ぎれば、新しい取締役会でしっかりとした報酬体系を決めればいい。

(経営コンサルタント 谷氏)
ではこれで参りましょう。今回の再生計画の流れから言えば、問題ないと思われます。では、次の重要なポイントは、新しい経営体制です。池瑠幸一新社長がやりやすい体制を作る必要がありますね。
特に、池溜幸一新社長の幹部を支えるのは、村田店長、山野店長、尾島店長、串間店長のようですが、池溜社長を支えた古参の幹部である川取締役、藤取締役、武取締役、其池部長の処遇は慎重にしなければなりませんね。

(経営者 池溜氏)
そうなんですよ。まだまだ、会社として積み残したことも多いし、古参の幹部諸君も小売・サービス業として、顧客や仕入れ先をしっかりと押さえているし、うまくやれば、池瑠新社長の戦力になるに違いない。ただ、其池部長は年齢的なものもあるし、私が第一線を退くときは退職したいと言ってきました。また、新規事業の責任者だった武取締役は、我が社の衛星放送とe-ラーニング事業の受験予備校を独立して受け継ぎたいと言っています。そうだったな、幸一課長。

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
そうですね。プロジェクトの説明をしていく 過程で、藤取締役と一緒に、衛星放送とe-ラーニング事業の受験予備校を大きくしたいと、個人的に相談を受けました。本部に、非公式打診をしましたが、武取締役と藤取締役ならばまったく問題ないようです。二人が設立する会社に、事業譲渡し、株式会社イケルは家賃を頂く。新しいパートナーシップです。谷先生、如何ですか?

(経営コンサルタント 谷氏)
本部がOKならば、問題ありません。財務DD評価時で、加盟金が3,000千円の評価でしたね。確かに、気心の知れた仲間が、独立して新事業に取り組む。新たな連携の輪が広がるかもしれませんよ。

(経営者 池溜氏)
すると、残るのは川取締役・・・彼は最年長だし、取引先の信任も厚いし、古い顧客も良く知っている。池瑠新社長を支えてくれるだろう。其池部長も、嘱託で引き継ぎをしてもらえばいい。村田店長、山野店長、尾島店長、串間店長をどう処遇する?

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
私の足らない部分が山ほどあります。川取締役に常務として私を補佐して頂きたい。併せて、村田店長は数字にも明るいし、リーダーシップもあるので営業統括の取締役として登用し、マーケティングとマネジメントにあたらせたいと思います。そして、山野店長は部長級で、年商5億円の本店をマネジメントしてもらい、尾島店長、串間店長は課長級で、これまでの方針通り、各店3億円を目指す基盤づくりに取り組んでもらいたいと思います。
経理体制は、其池部長が退職後も、嘱託顧問で如何ですか?自分がしっかりマネジメントしなければなりませんが、会長もおられるので安心です。受け皿として、若手の営業業務の責任者をやってきた頭の切れる山田係長を課長に登用して、総務経理と営業業務を統括する管理部門を統括させたい。
今まで不十分だったPOSデータや顧客様毎の買上履歴やフリークエントプログラムも、村田新取締役や店長が常に活用できるようにしていきたいと思います。

(経営者 池溜氏)
なるほど、いい案だ。それでいこうじゃないか!
そして、私は向こう5年間の再生計画中に、所有する自社株を池瑠新社長に譲渡していく。このプランで行きたいと思いますが、谷先生?

(経営コンサルタント 谷氏)
そうですね。後はTAXプランがうまく運ぶよう、顧問税理士の先生とお進め下さい。じゃあ、重要な経営体制が固まったところで、 明日の夕方の会議前に、再度、ご本人達に話を済ませておいて下さい。

(経営者 池溜氏)
了解しました。幸一新社長一緒に話をしましょう。

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
もちろんです!(続く)


【まとめ】再生計画策定時に、できれば、企業の承継も可能な限り、押さえていく!
1.
債権者からみた経営責任のための経営者の首のすげ替えだけでは、企業の再生がおぼつかない。経営の承継のために、しっかりとした経営者交替がポイント。
2.
中小企業の場合には、古参の幹部をどう処遇するか、も重要なポイント。また、“リストラ”で、“トラ”(他で通用するやる気のある人材)が去り、と“リス”(他で通用しない人材)ばかりが残ると会社は危うい。人心掌握に最大の神経を払うことだ。

by 21世紀経営クラブ 株式会社オリナス 谷口行利


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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<14回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;
緊急会議で、社長及び古参の幹部と、これからの社業を支えていく後継者、中堅メンバーが、未来をみつめた経営に対して思いを一つにすることができた。翌日夕方に最終的な経営体制を含めた合意形成の会議が開催される。その草案づくりが池瑠社長と後継者の池瑠課長、経営コンサルタント谷氏に委ねられた。
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中小企業の企業承継には、「経営の承継」、「経営者交替」、「資産の承継」という3つの視点を押さえることが重要だ!

(経営者 池溜氏) 
谷先生、先ほどの会議、どうもありがとうございました。
(経営コンサルタント 谷氏)
いえいえ、池瑠社長こそ、お疲れ様でした。短い間に、色々な事をご決断頂いて、かえって私も感心させて頂く事ばかりですよ。とにかく、中小企業の場合は、人材が豊富で組織やシステムで機能する大企業と異なり、ある意味で経営者にスーパーマンの能力が求められます。その経営者が退くというのは、大変な事です。
事実、中堅企業や中小企業向けの法的整理の民事再生法では、再生計画の承認の前提として、経営者の交替は求められない。つまり、そんなスーパーマンはなかなかいないわけですね。
(経営者 池溜氏) 
そうですか。しかし、失敗したら、偉そうなことは言えません。
(経営コンサルタント 谷氏)
いえいえ、そんな卑下なさらなくても・・・池瑠社長は公私混同し、自社をないがしろにし、従業員や取引先を踏み石にしたわけではありません。環境変化の中で、経営組織や経営技術、ビジネスモデルに課題が生じて、このままのやり方で継続するにはあまりにも経営体力が非常に弱まった、という事です。
今回の再生計画の着手は、決断のタイミングとして、理想的です。手がつけられない末期症状ではない。身体の状態に譬えれば、危篤状態ではなく、原因不明の高熱状態が続いていた、というわけで、原因を掴み、適切な治療をすれば元気になれるという段階です。池瑠課長はそのあたり、よろしいですね?
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
谷先生、その通りだと思います。実際、池瑠社長の経営姿勢や従業員や取引先等との関係において、影の批判などを聞いた事はありません。ある意味、ワンマンリーダーシップに依存したのは、私を含む、取締役や経営幹部の勉強不足も大きいと痛感しています。
(経営コンサルタント 谷氏)
なるほど、理解できます。いずれにしても、会社は環境変化に対応しなければなりません。今回は、企業の承継を踏まえた再生計画の策定でもある事が言えると思います。ただ、一口に“企業承継”と言っても、いろいろな要素があります。つまり、資本家と経営者が同一である中小企業の特質と言えるかもしれません。では、明日の夕方の会議のために、一つひとつ確認していきましょう。
企業承継には、「経営の承継」、「経営者交替」、「資産の承継」という3つの視点が重要です!私が所属する企業再建・承継コンサルタント協同組合では、次の事をご紹介しています。
1)「経営の承継」面・・・事業の将来性判断、企業の継続可能性判断、企業価値向上対策、危機管理体制の構築、経営理念、経営組織の構築等、
2)「経営者交替」面・・・後継者人材の選択、後継候補者の教育、人事制度の構築、M&A、廃業等の決断等、
3)「資産の承継」面・・・自社株対策、相続税対策、納税資金対策、相続人対策等、です。
今回は、特に、“1”と“2”です。但し、“3”も不可分なのです。ところで、池瑠社長、“3”については、顧問税理士等と進められていますね?
(経営者 池溜氏)
えぇ、決して十分ではありませんが、これまで時間をかけて、進めてきました。私達の子供は池瑠課長と県外に嫁いだ娘が一人。親族による株の分散は避け、自社株は、私と家内で51%、池瑠課長が49%です。定款にも、第七条に、“株式の処分については、会社の承認を必要とする”と明記しています。
(経営コンサルタント 谷氏)
なるほど、わかりました。定款に明記されている部分も確認しています。あと、種類株で、“黄金株“も入っているようですね。これは、非常にユニークだと思いました。
(経営者 池溜氏)
恐れ入ります。10年前でしたか、家内の親族が跡取り問題で揉めたものですから、“他山の石”として顧問税理士に依頼し、時間をかけて検討してきました。
種類株の導入は、新会社法施行時に合わせて行いました。池瑠課長にも話してあります。
(経営コンサルタント 谷氏)
では、経営権という視点から、“経営者交替“に課題はありませんね。あとは池瑠課長の”代表取締役社長“としての覚悟ということになりますが、如何ですか?
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
自信はありませんが、自分がなんとかしたいという意欲はあります。“逆境”を前に、これからよくなるだけだとのプラス思考で乗り切るだけです。いずれにしても、池瑠社長からバトンを受けるのは身が引き締まります。我が社は、地域になくてはならない会社であり、お客様、幹部・従業員、取引先のためにもしっかり勉強していく所存です。
(経営コンサルタント 谷氏)
頼もしいですね。では、これを踏まえて、次の経営の承継、組織の件を協議しましょう。(続く)

まとめ】再生計画策定時に、できれば、企業の承継も可能な限り、押さえていく!
1.私的整理による再生計画策定時に最低限必要なのは、債権者(特に金融機関)からみた再生計画の
  妥当性と経営責任。次の10年の再生計画を託すに相応しい後継体制の構築が必要だ。
2.私財を投じ、かつ、経営権、第三者保証等が関係する中小企業再生。
  経営者“個人”レベルでのタックスプランや事業承継の状況を十分に把握、配慮する事が重要だ。

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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<13回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;緊急会議で、池溜社長の後継者、池溜幸一課長が示した「株式会社イケルの経営が困難になった原因の報告を受け、「再生計画達成にむけて」において、社長自信が出処進退を含めた経営責任を明確化した。池溜社長は自ら、債権者を納得させるための方策を明示して、未来をみつめた経営に期待を繋いでいくのだった。
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再生計画策定を通じて、後継体制が生まれることもある。ただでさえ、人材が限られている中小企業。
新しい後継者が“茨の道”をしっかりと乗り越えていけるよう、古参の幹部の経営責任について納得を
得ながら、協力体制を作ることも重要なことだ!

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
谷先生、どうもありがとうございます。
皆さん、私は、「会社を実の子供のように育ててきて・・・今、子供が苦しんでいる!親が子供を振り回していたのかもしれないな。子供の成長に合わせて、新しい指導者やコーチが必要だったんだろう。」という池瑠社長のお話を聴いて、本当の意味で後継者として語る資格があるか、どうかはわかりません。つまり、この私的整理の現実を受け止め、中堅幹部として社長が手塩にかけてきた株式会社イケルを存続発展させるべく、どれだけ真摯に貢献してきたか、をうまく整理できません。私にも、経営責任の一端があるに違いありません。
しかし、谷先生がおっしゃったのは、明快です。中小企業は株式公開会社のように、資本と経営が分離されていない。債権者の方からも、会社を経営するための資金調達一つとってみても、経営者個人の人的担保が求められているのが現実です。
 だからこそ私は、中小企業の経営者の息子として、そのリスクから逃げず、池瑠社長の 失意を胸に秘めた上で、株式会社イケルの再生に賭けることを決意しました。
実は、今日、中小企業再生支援協議会と谷先生から連絡を頂いたのですが、今回の株式会社イケルの5つの金融機関への再生計画説明会は、3日後に決定しました。
皆さんと共に策定する再生計画を説明し、リスケジュールの同意を得るために全力を挙げたいと考えています。つまり、皆さんにも無理難題を要請することになりますが、ご支援を頂きながら、新社長として、株式会社イケルを再生させます。
是非、ご協力をお願いします。(一同に対して、深々とお辞儀する)

(取締役 川氏) 
池瑠課長ご心配には及びません。先日、池瑠社長と谷先生から別途に説明を受け、現在の状況をしっかり把握しているつもりです。取締役会としての責任をそれこそ痛感しています。ましてや、武さんや藤さんと私は60歳を越えているし、そろそろ潮時です。もちろん取締役を辞任する覚悟はできています。でも金庫番でやってきた其池部長は取締役会に、いろいろなシグナルを送っていたのは事実です。彼の経営責任については、債権者の了解が得られることを前提に、ご配慮頂けるといいのではないでしょうか。

(経営者 池溜氏)
そうだな。私もそう思う。其池くんは、我が身を帰りみず、安易に借入金に依存しないよう、いろいろな意見具申をしてきた。手駒として、都合のいいように振り回した私にこそ、責任がある。

(経理部長 其池氏)
池瑠社長、川取締役・・・私も説明不足、いや力不足でした。

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
谷先生、このあたりでアドバイス頂けますか?

(経営コンサルタント 谷氏)
えぇ、そうですね。池瑠課長のご説明に対して、池瑠社長や川取締役、其池部長からのコメントを私も真摯に拝聴致しました。
「再生計画達成にむけて」について、一番重要なことについて、既に、意思統一ができているように思います。この意思統一が前提にあれば、債権者説明会での同意形成の可能性は非常に高まりました。
 第一に、池瑠社長の社長退任。経営組織を一新し、若い後継者の池瑠課長が、次代のリーダーとして、会社を再生する責任を担う。各取締役も経営責任を取り、退任を覚悟。第二に、個人と会社で保有の不動産の任意売却が可能で、債務圧縮に充当。残高プロラタ※注でリスケジュールを要請。ホワイトボードに書いておいたが、大体、こんな具合になるだろう。第三に、担保処分返済後の借入金残高11,500万円を向こう5年間での赤字部門の撤退と各部門への集中戦略により営業キャッシュフローを獲得し、返済に充当することに無理はありません。
この後、取締役の皆さんも含めて、池瑠社長、池瑠課長にも同席頂き、個別協議を行いましょう。その上で、明日夕方、最終的に、経営体制を含めた合意形成を行いましょう。池瑠社長、池瑠課長それでよろしいですね?

(経営者 池溜氏)
それで結構です。よろしくお願いします。

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
了解致しました。この後、池瑠社長と谷先生と進め方を協議させて下さい。(続く)


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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<12回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;緊急会議で、中堅幹部である後継者が、赤裸々に、「経営が困難になった原因」を説明した。あまりにも、社長の強いリーダーシップに依存し、健全な組織運営とは言えなかったのだろうか。取締役会が反省や自責の念を認識したところで、「経営責任と再生計画の方向性」を協議していく。
--------------------------------------------

再生計画策定の現場では、経営責任が問われる。歴史を創ったリーダーの覚悟、決意が、将来の礎を作る源になる!


(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
それでは、会議を再開します。まず、池瑠社長にコメントを頂きたいと思います。

(経営者 池溜氏)
うむ。これまで、池溜幸一課長が報告してくれた株式会社イケルの再生計画案「株式会社イケルの経営が困難になった原因」については、大変的を得ていると思う。
其池部長が「経営を管理する立場なのにいったい何をやっていたのでしょう。」という自責の念を話していたが、それ以上に、私自身の経営感覚が麻痺していたのかもしれない。
会社を実の子供のように育ててきて・・・今、子供が苦しんでいる!親が子供を振り回していたのかもしれないな。子供の成長に合わせて、新しい指導者やコーチが必要だったんだろう。
とにかく、今こそ、変革しなければならないと思う。そこで、皆が言い辛いことは谷先生とあらかじめ打合せしておいた。つまり、「再生計画達成にむけて」に必要な経営責任の件だ。それを今から、発表する。

まず、第一に、私自身の経営責任についてだが、一番の経営責任があることを認識している。本来は辞めることも考えたが、私は連帯保証人となっている身であり、中小企業ではそうはいかない。多額の債務がある以上、債権者に対し、迷惑をかけてはならない。
そこで、私は、経営責任を取り、代表権のない会長に降格処分にしてもらいたいと思う。
いずれにしても、債権者である金融機関が合意されての話だが、連帯保証人としての立場からも、取締役としての任は全うする。ゆえに、再生計画をまとめる行程で臨時取締役会を開催し、債権者が納得できる新社長を決めてもらいたい。その社長を精一杯、支援していきたいと思う。もちろん、会長としての私の報酬も下げる必要がある。プロジェクトで検討してもらいたい。
第二に、個人と会社で保有している不動産を債務圧縮のために、売却し、債務圧縮に充てる。
実は、これまでに、其池経理部長を通じて私個人が保有する不動産ABと株式会社 イケルの保有する遊休不動産Cの不動産鑑定を実施している。個人不動産ABについては、正常価格が3,000万円と出たが、ありがたいことに私の旧友がその金額で任意売却に応じてくれる。ここは、サブ銀行の担保に入っているので、売却金額を一括して、サブ銀行に返済する。連帯保証人として、返済責任を果たし、同時に、会社への求償権も放棄する。
次に、会社保有の有休不動産Bは正常価格で5,500万円と出た。これについては、簿価が3,000万円なので、2,500万円の売却益が見込める。ここは、メイン銀行の担保に入っているので、売却金額を一括して、メイン銀行に返済する。

ホワイトボードに書いておいたが、大体、こんな具合になるだろう。

表 (略)

以上が私の経営責任の取り方と考えている。谷先生、よろしければ、ここでコメントを頂けませんでしょうか?

(経営コンサルタント 谷氏)
了解致しました。皆さん、今、池溜社長がご自分の経営責任について触れられました。私が、申し上げたいのは、今回の我が社の現状に対して、真摯に向き合われ、これからの未来を託すために、出処進退を明確にされたということでしょう。
実は、中小企業再生支援協議会の枠組みでも、10件に1件程度しか、再生支援のスキームに乗らない傾向があります。それはなぜかというと、経営体として、瀕死の状態での相談が多いからなのです。ところが、我が社は、そうではありません。近年の分散投資と慢性赤字体質が問題。そこに、社長が気づかれて、経営改革のため、“急性疾患”の時に、身を引く決断をされたのです。どうぞ、発展的にプロジェクトで協議を続けて下さい!(続く)


【まとめ】再生計画協議では“経営者”の出処進退、経営責任の明確化が大事!
1.再生計画策定時は、経営責任の明確化が前提~経営者の保身と権限維持の姿勢を捨てること
2.再生計画策定時は、組織風土改革のチャンス~同時に組織の若返りを計るのだ。

by 21世紀経営クラブ 株式会社オリナス 谷口行利


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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<11回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;中堅幹部以上のメンバーを集めて開催された緊急会議は、再生へのキックオフとなった。池溜社長が自分の責任を明確にした上で、経営コンサルタントを通じて、多角化の失敗と本業において5年間も営業利益が出ていないことが、発表された。
そして、次代の幹部陣にも再生計画の分析要請がなされ、1週間が経過した。
--------------------------------------------

再生計画策定の現場では、次世代のキーマン、特に、後継者の存在と行動が重要。
再生に向かう試練は、後継者のリーダーシップ能力を高める重要な一里塚となる!

(経営者 池溜氏)
じゃあ、早速、再生計画を詰める協議を始めたいと思う。本日も谷先生にアドバイスを頂きます。先生、どうぞよろしくお願いします。
なお、これからの会議は、未来を決める会議だ。後継者の池溜幸一課長にリーダーシップを取ってもらいたい。とは言ったものの、まだまだひよっ子だ。川取締役、藤取締役、武取締役、其池部長は陰に陽にしっかり支えてもらいたい。いいかな?
(川取締役、藤取締役、武取締役、其池部長) ハイ、社長!
(経営者 池溜氏)
どうもありがとう。じゃあ、進めよう。池溜幸一課長、頼む!
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
 ハイ!では、私の方でリードさせて頂きます。
谷先生、先日は、どうもありがとうございました。なんとか、村田店長、山野店長、尾島店長、串間店長とで、問題点分析をやりました。確かに、先生がおっしゃっていた通りです。詳しくは、後ほど頂いたフォームによる再生計画案をご覧下さい。
<株式会社イケルの経営が困難になった原因>
1.新規事業・多角化戦略の失敗
従来の顧客様層に展開しようとした受験予備校FC事業に、加盟料や教室不動産投資、人件費などで1億円ほど長期資金を借り入れましたが、“まず、多角化がありき”で講師の確保や全社での運営体制、マーケティング等、つまり事業計画が明確でないまま突き進んでしまった、ことです。ここは年間で10,000千円の赤字です。驚きました。さらには、事業推進者が、池溜社長であったこと。赤字を生み出しているコンセプトショップもそうです。つまり、聖域事業です。

2.既存店舗の利益体質が悪化。野放図な拡大志向の中で、追われる資金繰り
   先日、谷先生から示されたことを精査しました。
(1)まず、部門別分析です。
昨年度、全社損益で、5,000千円の最終赤字でしたが、既存店部門合計の利益は5,000千円の最終黒字。ただ、コンセプトショップは本社費負担前で、年間で24,000千円の赤字です。其池部長に確認すると、コンセプトショップと受験予備校FC事業に関する減価償却費残高は50,000千円に上ります。
この件で、其池部長、補足はございませんか?

(其池部長)
財務DD報告書にも示されていた通りで、おっしゃる通りになると思います。特に、減価償却費未償却分は、黒字決算化へのやむを得ない措置でした。
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
ありがとうございました。
(2)次に、商品別分析です。
池溜社長から、常に現場に檄が飛び、売上拡大に追われる中、社長がメーカー展示会に行かれるたびに、取扱い商品ブランドが急増。先生がおっしゃるように、商品ブランド別をABC分析で分析すると、核となる商品ブランドがなく、分散した売上構成になっていて、主力が見られず、ぞっとします。
最近の5年間で比較すると、
① 商品ブランド数が200%増(20⇒40)
② 平均商品回転率が大幅悪化(4.0回⇒3.0回)
③ 平均商品交叉比率(商品回転率×荒利益率)が大幅悪化(150⇒90)
※商品回転率に加え、荒利益率も大幅に低下しています。最近、急に増えた商品ブランド毎の売上拡大に、無理売りをしている状況に陥っています。
交差比率が100を超える商品ブランドが、本当に一つしかありません。完全に投下資金が寝ている状況ですね。
④ 運転資金の回転差分析(「流動資産/平均月商」-「流動負債/平均月商」)をみると、5年前が、1.0ケ月に対し、前期は2.0ケ月の運転資金を必要とします。
つまり、この回転差を放置しておくと、売上が伸びれば伸びるほど、運転資金を必要とする体質に
なると、先生から教えて頂きました。資金繰りに追われる状況がよくわかります。
なお、棚卸資産の鮮度分析をすると、90日以上の滞留在庫が下代で、20,000千円あります。これは見切り消化しなければなりません。
⑤ 業界で売れているレクシスやプリス、ロメオ、ファット、ローラックスの売上比率が5年前は70%あったのに、現在は40%です。
3.最後に、顧客別等分析です。
これも、先生の分析通りです。ここ3年で、年間4回転近く買い物を頂いているVIP顧客様が毎年ダウンし、4年前に30%数えたのが、現在では10%になっています。結局のところ、リピーターに対する差別化提案や優遇策もなく、販売員の接客接遇力と販売力に依存してきたといます。とは、いうものの、担当者別の売上生産性分析等によると、月平均で3,000千円販売しているスタッフは全体の20名中の販売スタッフのうち20%、4人。それも、我々、店長クラスという実態で、人材の育成がまったくできていません。
その他、売掛金に関しては、焦げ付きもなく、減少傾向で、かつ、残高も業界平均に比べて少なく、問題ありません。

4.形骸化した取締役会や店長会議のあり方
もっと言えば、池溜社長の方針や指示を聴く場に終始し、一方で、業績管理も部門毎や坪売上と荒利益や担当者別予算管理に終始していた点です。
利益管理、キャッシュフロー管理の現状について業績開示されていなかったこともありますが、本来ならば取締役会や店長会議のメンバーがなすべきマネジメントを当たり前のように、担えていなかった。いや、担ってこなかったのではないでしょうか?また、会社が大きくなり、人員は増えたものの、その人材育成はまったくできていなかったのが現状です。
この件に関して、皆さん、如何でしょうか?

(川取締役)
う~ん、正直、分析は間違っていないと思います。考えてみれば、私も 池溜社長の指示ばかりを忠実にこなすだけだったのでしょう。反省しています。
(藤取締役)
人材育成どころか、私たち取締役会メンバー自身が、経営者層として、 レベルアップできていなかったということになりますね。言葉がありません。
(武取締役)
結果が全て、です。そして、取締役会といっても、売上と荒利益、他社対策ばかりでしたし、資金繰りの件は、いつも“売上が足らん、足らん”、“在庫を減らせ”の指示ばかりで、追われる一方でした。
(其池部長)
経営を管理する私は、これまで、いったい何をやっていたのでしょう。
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
いずれにしても、谷先生のおっしゃる通り、これまでリーダーシップを取られてきた池溜社長の経営責任が、今回、問われると聴きます。ただ、その池溜社長からの指示待ちで、組織を預かる幹部として、自ら戦略や方針を示し、責任を全うしていく必要があります。さらには、これを機会に、新規事業を止め、赤字店舗を撤収すると、従来「本社費」の中で曖昧になっていた役員報酬も職務分掌とともに“現地化”し、かつ、見なおす必要があるのではないでしょうか。
以上、「株式会社イケルの経営が困難になったか」についてご説明致しました。
 株式会社イケルは30年の歴史と40名の従業員を持つに至りました。これは、池瑠社長のリーダーシップの賜物であり、各取締役の重要な功績です。それに、私たちや実直な従業員達が懸命についてきたのです。ここで、しっかりこぶし固めをして、再スタートを期したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
   
                                               (続く)
【まとめ】会社の再生には、新旧体制がバランスする新しい風・リズムを起こすこと!
1.再生計画策定時の創業者(実力経営者)は、次期後継者や次期代表候補者が思い切って“変革”へのかじ取りができるよう、古参の幹部への支持を取り付ける。
2.再生計画策定は、財務DD報告書での財務の現状と定量的な指標、定性的な事実を的確に捉え、分析する。
つまり、“感情”分析ではなく、“勘定”分析が基本。それを受けて、次期後継者は、私心なく未来志向で取り組むこと。

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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<10回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;中堅幹部以上のメンバーを集めて開催された緊急会議は、再生へのキックオフとなった。池溜社長が自分の責任を明確にした上で、経営コンサルタントを通じて、多角化の失敗と本業において5年間も営業利益が出ていないことが、発表された。
そして、次代の幹部陣にも再生計画の分析要請がなされ、1週間が経過した。
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再生計画策定の現場では、次世代のキーマン、特に、後継者の存在と行動が重要。
再生に向かう試練は、後継者のリーダーシップ能力を高める重要な一里塚となる!

(経営者 池溜氏)
じゃあ、早速、再生計画を詰める協議を始めたいと思う。本日も谷先生にアドバイスを頂きます。先生、どうぞよろしくお願いします。
なお、これからの会議は、未来を決める会議だ。後継者の池溜幸一課長にリーダーシップを取ってもらいたい。とは言ったものの、まだまだひよっ子だ。川取締役、藤取締役、武取締役、其池部長は陰に陽にしっかり支えてもらいたい。いいかな?
(川取締役、藤取締役、武取締役、其池部長) ハイ、社長!
(経営者 池溜氏)
どうもありがとう。じゃあ、進めよう。池溜幸一課長、頼む!
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
 ハイ!では、私の方でリードさせて頂きます。
谷先生、先日は、どうもありがとうございました。なんとか、村田店長、山野店長、尾島店長、串間店長とで、問題点分析をやりました。確かに、先生がおっしゃっていた通りです。詳しくは、後ほど頂いたフォームによる再生計画案をご覧下さい。
<株式会社イケルの経営が困難になった原因>
1.新規事業・多角化戦略の失敗
従来の顧客様層に展開しようとした受験予備校FC事業に、加盟料や教室不動産投資、人件費などで1億円ほど長期資金を借り入れましたが、“まず、多角化がありき”で講師の確保や全社での運営体制、マーケティング等、つまり事業計画が明確でないまま突き進んでしまった、ことです。ここは年間で10,000千円の赤字です。驚きました。さらには、事業推進者が、池溜社長であったこと。赤字を生み出しているコンセプトショップもそうです。つまり、聖域事業です。

2.既存店舗の利益体質が悪化。野放図な拡大志向の中で、追われる資金繰り
   先日、谷先生から示されたことを精査しました。
(1)まず、部門別分析です。
昨年度、全社損益で、5,000千円の最終赤字でしたが、既存店部門合計の利益は5,000千円の最終黒字。ただ、コンセプトショップは本社費負担前で、年間で24,000千円の赤字です。其池部長に確認すると、コンセプトショップと受験予備校FC事業に関する減価償却費残高は50,000千円に上ります。
この件で、其池部長、補足はございませんか?

(其池部長)
財務DD報告書にも示されていた通りで、おっしゃる通りになると思います。特に、減価償却費未償却分は、黒字決算化へのやむを得ない措置でした。
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
ありがとうございました。
(2)次に、商品別分析です。
池溜社長から、常に現場に檄が飛び、売上拡大に追われる中、社長がメーカー展示会に行かれるたびに、取扱い商品ブランドが急増。先生がおっしゃるように、商品ブランド別をABC分析で分析すると、核となる商品ブランドがなく、分散した売上構成になっていて、主力が見られず、ぞっとします。
最近の5年間で比較すると、
① 商品ブランド数が200%増(20⇒40)
② 平均商品回転率が大幅悪化(4.0回⇒3.0回)
③ 平均商品交叉比率(商品回転率×荒利益率)が大幅悪化(150⇒90)
※商品回転率に加え、荒利益率も大幅に低下しています。最近、急に増えた商品ブランド毎の売上拡大に、無理売りをしている状況に陥っています。
交差比率が100を超える商品ブランドが、本当に一つしかありません。完全に投下資金が寝ている状況ですね。
④ 運転資金の回転差分析(「流動資産/平均月商」-「流動負債/平均月商」)をみると、5年前が、1.0ケ月に対し、前期は2.0ケ月の運転資金を必要とします。
つまり、この回転差を放置しておくと、売上が伸びれば伸びるほど、運転資金を必要とする体質に
なると、先生から教えて頂きました。資金繰りに追われる状況がよくわかります。
なお、棚卸資産の鮮度分析をすると、90日以上の滞留在庫が下代で、20,000千円あります。これは見切り消化しなければなりません。
⑤ 業界で売れているレクシスやプリス、ロメオ、ファット、ローラックスの売上比率が5年前は70%あったのに、現在は40%です。
3.最後に、顧客別等分析です。
これも、先生の分析通りです。ここ3年で、年間4回転近く買い物を頂いているVIP顧客様が毎年ダウンし、4年前に30%数えたのが、現在では10%になっています。結局のところ、リピーターに対する差別化提案や優遇策もなく、販売員の接客接遇力と販売力に依存してきたといます。とは、いうものの、担当者別の売上生産性分析等によると、月平均で3,000千円販売しているスタッフは全体の20名中の販売スタッフのうち20%、4人。それも、我々、店長クラスという実態で、人材の育成がまったくできていません。
その他、売掛金に関しては、焦げ付きもなく、減少傾向で、かつ、残高も業界平均に比べて少なく、問題ありません。

4.形骸化した取締役会や店長会議のあり方
もっと言えば、池溜社長の方針や指示を聴く場に終始し、一方で、業績管理も部門毎や坪売上と荒利益や担当者別予算管理に終始していた点です。
利益管理、キャッシュフロー管理の現状について業績開示されていなかったこともありますが、本来ならば取締役会や店長会議のメンバーがなすべきマネジメントを当たり前のように、担えていなかった。いや、担ってこなかったのではないでしょうか?また、会社が大きくなり、人員は増えたものの、その人材育成はまったくできていなかったのが現状です。
この件に関して、皆さん、如何でしょうか?

(川取締役)
う~ん、正直、分析は間違っていないと思います。考えてみれば、私も 池溜社長の指示ばかりを忠実にこなすだけだったのでしょう。反省しています。
(藤取締役)
人材育成どころか、私たち取締役会メンバー自身が、経営者層として、 レベルアップできていなかったということになりますね。言葉がありません。
(武取締役)
結果が全て、です。そして、取締役会といっても、売上と荒利益、他社対策ばかりでしたし、資金繰りの件は、いつも“売上が足らん、足らん”、“在庫を減らせ”の指示ばかりで、追われる一方でした。
(其池部長)
経営を管理する私は、これまで、いったい何をやっていたのでしょう。
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
いずれにしても、谷先生のおっしゃる通り、これまでリーダーシップを取られてきた池溜社長の経営責任が、今回、問われると聴きます。ただ、その池溜社長からの指示待ちで、組織を預かる幹部として、自ら戦略や方針を示し、責任を全うしていく必要があります。さらには、これを機会に、新規事業を止め、赤字店舗を撤収すると、従来「本社費」の中で曖昧になっていた役員報酬も職務分掌とともに“現地化”し、かつ、見なおす必要があるのではないでしょうか。
以上、「株式会社イケルの経営が困難になったか」についてご説明致しました。
 株式会社イケルは30年の歴史と40名の従業員を持つに至りました。これは、池瑠社長のリーダーシップの賜物であり、各取締役の重要な功績です。それに、私たちや実直な従業員達が懸命についてきたのです。ここで、しっかりこぶし固めをして、再スタートを期したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
   
                                               (続く)
【まとめ】会社の再生には、新旧体制がバランスする新しい風・リズムを起こすこと!
1.再生計画策定時の創業者(実力経営者)は、次期後継者や次期代表候補者が思い切って“変革”へのかじ取りができるよう、古参の幹部への支持を取り付ける。
2.再生計画策定は、財務DD報告書での財務の現状と定量的な指標、定性的な事実を的確に捉え、分析する。
つまり、“感情”分析ではなく、“勘定”分析が基本。それを受けて、次期後継者は、私心なく未来志向で取り組むこと。


by 21世紀経営クラブ 株式会社オリナス 谷口行利


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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<10回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;株式会社イケルの池溜社長は、会社の窮状と再生への決意を伝え、全社一丸となっての協力体制を得るため、中堅幹部以上を集めたプロジェクト会議を招集。そこで、経営コンサルタント谷氏は、中堅幹部以上のメンバーに結束と協力を要請するのだった。
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再生計画策定の現場では、全社一丸体制を構築。実行者不在、特に、一部だけでの“机上論”の策定では再生計画合意後の二次破綻を招く!

(経営者 池溜氏)
~前略~皆は、いきなりの話で私が何を言っているか、わからないかもしれない。会社が苦境に陥った原因や今後のこと、詳しいことは、この後、谷先生に説明して頂きます。
しっかり聴いて頂き、協力をして頂きたい。すべては私の責任だ、本当に申し訳ない。そして、中小企業再生支援協議会の枠組みを活用し、外部専門家でもある経営コンサルタントの谷先生に協力をお願いしています。これから、お話を頂くので、しっかり聴いて頂きたい。
(経営コンサルタント 谷氏)
皆さん、初めまして。経営コンサルタントの谷と申します。今日はよろしくお願いします。先日、取締役会の皆様にはご挨拶を申し上げて、いろいろな協議を致しました。今日は店長を交えた中堅幹部の皆さんに対して、株式会社イケルの現状と窮状をお伝えし、一緒になって会社の再生に取り組んで頂ければと思い、お集まり頂きました。
 店長の皆さんには、本当に突然でびっくりされたと思います。今、株式会社イケルは、実質、債務超過体質に転落し、メイン銀行優秀支店の借り換え融資が拒絶され、このまま放置すると資金繰りがショートし、会社が存続できなくなります。しかし、相談のタイミングは早かった。この会議を期に、皆さんと再生に向けての合意形成ができれば、法的整理ではなく、会社のブランドイメージを損ねることのない私的整理で、株式会社イケルを再生できると確信しています。ところで、株式会社イケルの経営が困難になった原因は二つあると考えています。第一は、我が社の顧客基盤を活かした多角化の失敗です。つまり、衛星放送とEラーニングをミックスした受験予備校のFC経営のため、教室の不動産投資とか、人件費などの運転資金で1億円ほど長期資金を借り入れたものの、赤字になっている点、第二に多角化を吸収する本業での黒字基盤が崩れていて、5年間も営業キャッシュフローの源泉である営業利益が出ていません。営業キャッシュフローの中で借入金の元本返済ができないという状態に陥っているのです。独立採算制がなされておらず、どんぶり経営のつけでしょう。特に、部門別では、池溜社長の肝いりで出店したコンセプトショップが毎月2,000千円の赤字で本社費を吸収できていません。
年間で24,000千円の赤字を出しています。また、商品別をABC分析でみましたら、よく言えば、ロングテール現象。悪く言えば、どこにも特長のない売れ方です。
また、仕入・在庫等の分析をみた時に、商品が専門品という特性から、年間の商品回転率を4回転とした時に、荒利益率をかけた交差比率が100を超える商品群が一つしかありません。完全に投下資金が寝ている状況ですね。さらに、バーコード単品管理から言って、90日以上の滞留在庫が下代で20,000千円あります。
広告・販促費等の分析によると、新聞とTVのマス広告が中心です。顧客別等の分析をみると、ここ3年で、年間4回転近く買い物を頂いているVIP顧客様が毎年ダウンし、4年前に30%数えたのが、現在では10%になっています。売掛金に関しては、あまり不安はありません。一方、担当者別の生産性分析等によると、月平均の売上で3,000千円販売しているスタッフは全体の20名中の販売スタッフのうち20%、4人という状態です。これらをすべて、裏付けを取り、全員が納得できるまで、協議しなければなりません。
まとめれば、株式会社イケルの窮状は、本業の脆弱さと借金に依存した多角化の失敗と言えるでしょう。ここまでで何か、ご質問はございませんか?

再生計画策定の現場で、後継者がプロジェクトリーダーを務めると、経営承継のスムースな流れとリーダーシップ教育の場となる!

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
ハイ!谷先生(手を挙げる)。質問ではありませんが、よろしいでしょうか?
(経営コンサルタント 谷氏)
幸一課長ですね。もちろん、結構です。
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
今日はありがとうございます。実は、私の独断で、すでに村田、山野、尾島、串間の各店長には話をしています。というのは、谷先生にわざわざおいで頂く段階では、中堅幹部もこぶし固めを終了し、店長も取締役会と一緒に、再生計画策定に望みたかったからです。そうだよな、皆?
(店長全員)
そうです!我々、中堅幹部も、株式会社イケルに育てられ、ここまできました。我々や家族はもとより、部下のためにもやるしかありません。そして、我々の会社がなくなると地域の顧客様がお困りになります。
(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
ありがとう、皆!それで、谷先生、具体的に我々が何をすればよいか、指示をお願いします。しっかりと取り組みます。
(経営コンサルタント 谷氏)
皆さん、ありがとう。今回の再生計画のポイントは、新規事業の赤字である受験予備校のカット。事業譲渡を検討します。また、赤字体質のコンセプトショップを残すかどうか、を精査し、また、お話した各種分析を受けて、本業の立て直しを進め、今後の5年間でどれだけのフリーキャッシュフローを生み出せるか、を検討して下さい。一方、2億円に上る多額の有利子負債を不動産売却により圧縮返済し、先ほどのフリーキャッシュフローを踏まえて、5年間で債務超過から脱却できるか、が勝負です。
金融機関5行には、債権放棄を要請する段階まで悪くはありませんので、1年間のリスケジュール(有利子負債の1年間元本支払い猶予)を想定し、再生計画を策定します。
なお、再生計画は大きく、1.株式会社イケルの経営が困難になった原因、2.経営責任と再生計画の方向性、3.再生計画達成にむけて、の三編成です。それに、貸借対照表や損益計算書、資金繰り表、有利子負債リスケジュール表等を添付します。特に、池溜幸一課長と村田店長、山野店長、尾島店長、串間店長は、本業の分析と再生計画案を策定して下さい。池溜社長や川取締役、藤取締役、武取締役、其池部長は総合的に再生計画を策定して下さい。詳しくはこのフォームをご覧下さい。いずれも、私がアドバイスさせて頂きます。
          
                                              (続く)


【まとめ】会社の再生には、“後継者”の決意とリーダーシップ発揮が必要!

1.再生計画策定には次期後継者を積極的に参画させる。
2.再生計画策定は、一部のメンバーでは行わない。再生計画合意後の二次破綻はよくある話。実行責任者を必ず入れて、策定する。

by 21世紀経営クラブ 株式会社オリナス 谷口行利


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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<9回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;株式会社イケルは経営コンサルタントの主導により、財務DD報告書と事業の現状分析から、再生計画の方向性を決め、プロジェクト会議に向けての最終確認を取った。そして、今、プロジェクト会議の前に、谷氏と池溜社長が進め方の打合せを行っている。
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(経営者 池溜氏)
谷先生、先日、緊急取締役会でお話したように、今回の全社一丸体制を機に、わが社もこの困難を乗り越え、次の世代に誇れる会社を残したいと思います。今日はどうぞよろしくお願いします。

(経営コンサルタント 谷氏)
了解しました。こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。先日の緊急取締役会での各取締役の意識改革の後は、会社の再生に取り組むための“現場力”の鍵となるプロジェクト会議メンバーの合意形成と意識改革です。しっかりやりましょう。

(経営者 池溜氏)
かしこまりました。ところで、谷先生、今日の進め方を打合せしたいのですが・・・。

(経営コンサルタント 谷氏)
えぇ。まず、池溜社長に了承頂きたいことがあります。それは、利害関係者、特に今回は金融機関という債権者の合意を形成するため、再生計画を策定し、実行する間は、すべての価値判断基準が会社の再生と存続という目的のために必要であるか?という一点であり、池溜社長がどうお考えになるかではないということです。
 さらに、ポイントを挙げるとすれば、第一に、私心を捨てたトップの不退転の決意と決断。第二に、従業員に対する適切な情報開示を進め、再生への協力を要請し、危機突破への全社一丸体制の構築。つまり、従業員を信じること。第三に、的確な現状認識により、経営戦略面での“選択と集中”を進め、マネジメントを徹底すること、でしょう。ご了承頂けますね?

(経営者 池溜氏)
異論はありません。もちろんです。私の立場や資産は二の次です。特に、私心を捨てたトップの不退転の決意と決断が必要ですね。

(経営コンサルタント 谷氏)
そうです。その上で、取締役や幹部や中堅社員にプロジェクト会議等で情報を提供するとともに、どんどん意見や再生への改善案を出させることで、企業再生への参画意識を持たせるのです。ましてや、池溜社長の後継者である池溜幸一課長には、本当の意味で、各取締役や従業員からの信頼が得られるかどうか、力量が試されることになるでしょうね。

(経営者 池溜氏)
本当にそうですね。ただ、お恥ずかしいことに、今まで、意見や改善策がなかなか従業員から出てきませんでした。取締役でさえ、そうでしたからね。谷先生、個人的には、この意見や改善策が出てくるか、どうかが一番心配です。

(経営コンサルタント 谷氏)
ご心配はごもっともです。強烈なリーダーシップをお持ちの池溜社長のような方は皆さん、そうおっしゃいます。池溜社長はある意味、会社のことは何でもできる“スーパーマン”ですからね。ただ、それがゆえに、先日、川取締役がおっしゃったように、「我々は、取締役であるにもかかわらず、言われたことだけど遂行する管理者レベルの意識と行動しかしなかった!」という結果を生んだ・・・。また、今回の経営危機の引き金となった新業態店投資の責任者であり、“営業部長”でもあった。さらには、幸一課長は営業課長として、現場の責任者になっている。一般論で言えば、取締役や従業員からみると、新業態店のことはサンクチュアリ“聖域”になっていた。つまり、池溜社長がこの新業態店に関して言えば、“経営者”でなかったのです。そのことを取締役やプロジェクトメンバーの前で、まず、しっかりと披瀝して頂きたいのです。そして、プロジェクト会議の中では、オブザーバーとして参加頂き、決して、言葉尻を取ったり、評価しないで頂きたいのです。そうしなければ、現場の意見は出てきません。往々にして、強烈なリーダーシップばかりが目立つ会社は、指示・命令を待つ恭順な集団になっているものです。再生のプロセスでは、一人ひとりが、しっかりと考えて行動して頂かねばなりません。

(経営者 池溜氏)
自ら好んでそのような立場にもっていったつもりはないのですが、心して、受け止めます。

(経営コンサルタント 谷氏)
池溜社長のご心境は察しているつもりです。ここは、我々を見守っていて下さい。そこで、会議の進め方ですが、まず、池溜社長のコメントからお願いします。次に、私の方から、会社が苦況に陥っている現状と今後について、前回、ホワイトボードで説明した自社分析段階と財務DD段階の対比表により、さらには、緊急取締役会での方向性決定を受けて、何を為さねばならないか、を皆さんに説明します。その後、意見交換をする中で、プロジェクトメンバーに、事業DDの分析と改善策作りの課題に取り組んで頂きます。我々に、与えられた時間は3ケ月。つまり、3ケ月後に、5行の金融機関との折衝があります。むろん、その間に、精査をしていかなければなりません。つまり、1ケ月、1ケ月毎に期限を決めて、しっかり取り組みます。
特に、最初の1ケ月が事業DDからみた現状分析、問題点検討です。各取締役は経営責任上、しっかりバックアップして頂きます。プロジェクト会議のリーダーは、池溜幸一課長にやって頂きます。池溜社長、よろしいですね?

(経営者 池溜氏)
わかりました。お任せ致します。都度のアドバイスをお願いします。

(経営コンサルタント 谷氏)
そのつもりですよ、池溜社長。そろそろ、プロジェクト会議の時間です。移動致しましょうか。

~プロジェクト会議で取締役や幹部・中堅社員に対して、池溜社長が挨拶~

(経営者 池溜氏)
「今日は、年末の忙しい中、取締役や中堅幹部、中堅社員の皆さんに集まってもらい、本当に、ご苦労さまです。また、経営コンサルタントの谷先生にもご出席を頂き、我が社のために、いろいろとお話を頂くことになっております。先生、今日はどうぞよろしくお願いします。ところで、今日、集まってもらったのは申すまでもありません。
私が個人で創業したこの会社が、今、大変な苦境に陥っている。皆も知っておられると思うが、我が社の金融機関の取引先は5行。うちメイン銀行はメイン銀行優秀支店です。メイン銀行には、新業態店の設備投資や運転資金についても、5行との間をうまく取りまとめて頂いた経緯があります。その上で、今度、メイン銀行優秀支店で5000万円の借り換えのための返済が到来するんだが、置家支店長から、これ以上の融資は応じられない、一旦、5000万円を返済してほしいと正式に通告を受けました。もちろん、残りの他行からの支援も困難。そのため、一旦、返済を棚上げして頂くための再生計画を作り、私的整理で、会社を再建しなければなりません。そして、これがうまくいかなければ、会社が存続できないことになります。そこで、私は今回、私財を投げ打ってでも、一から育てたこの会社の再生を見届け、次世代につなぐ覚悟でいます。
皆は、いきなりの話で私が何を言っているか、わからないかもしれない。会社が苦境に陥った原因や今後のこと、詳しいことは、この後、谷先生に説明して頂きます。しっかり聴いて頂き、協力をして頂きたい。すべては私の責任だ、本当に申し訳ない。
                                       (続く)

【まとめ】会社の再生には、“現場力”を結集することが大事!
1.私心を捨てたトップの不退転の決意と決断が前提。
2.従業員に対する適切な情報開示を進め、再生への協力を要請し、
危機突破への全社一丸体制の構築。つまり、従業員を信じることが必要。
3.第三に、的確な現状認識により、経営戦略面での“選択と集中”を
進め、マネジメントを徹底することが大事。

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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<8回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;株式会社イケルは経営コンサルタントを招聘して、緊急取締役会を開催した。その場で、財務DD(資産の再評価)により約1億円程度の純資産のマイナス予想が出され、緊急取締役会の意思統一の下に、再生計画を策定することが決議された。
金融機関が再生計画を合意してくれるか、非常に重要な3ケ月間を迎えた。

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(経営コンサルタント 谷氏)
皆さん、今日は!先日、再生計画の方向性について確認をしました。
其池(それいけ)部長、今期までの累計の欠損金の見通しが1億円近くでしたね?

(経理部長 其池(それいけ)氏)
大筋はそのとおりです。中小企業再生支援協議会から紹介を受けた公認会計士に、財務DDを受け、その結果について、報告書が参りました。
また、その流れで、会社所有の不動産について、不動産鑑定士の評価を受け、正常価格と特定価格も明記した不動産鑑定書の提出も受けています。

(経営者 池溜氏)
谷先生、こちらが、財務DD報告書と不動産鑑定書で、先生用に複写しています。
それから、私の個人不動産を任意売却するケジメをつけるかもしれないといわれていたので、先祖代々受け継いだ県外の実家と今、私たちが居住している本宅も不動産鑑定を受けています。

(経営コンサルタント 谷氏)
そうですか!それは良かった。効率的に進められますね。それでは、川取締役、藤取締役、武取締役に伺いますが、事業DD分析の方は如何でしたか?
部門別、商品別、顧客別等の分析、仕入・在庫等の分析、広告・販促費等の分析、担当者別の生産性分析等について触れて下さい。

(川取締役)
では3人を代表して、ご報告します。3人の机上段階の分析ですので、まだ、現場に詰めていくことで深めていけますが、部門別では、池溜社長の肝いりで出店したコンセプトショップが毎月2,000千円の赤字で本社費を吸収できていません。年間で24,000千円の赤字を出しています。
商品別をABC分析でみましたら、よく言えば、ロングテール現象。悪く言えば、どこにも特長のない売れ方です。また、仕入・在庫等の分析をみた時に、商品が専門品という特性から、年間の商品回転率を4回転とした時に、荒利益率をかけた交差比率が100を超える商品群が一つしかありません。完全に投下資金が寝ている状況ですね。さらに、バーコード単品管理から言って、90日以上の滞留在庫が下代で20,000千円あります。
広告・販促費等の分析も新聞とTVのマス広告が中心です。顧客別等の分析をみると、ここ3年で、年間4回転近く買い物を頂いているVIP顧客様が毎年ダウンし、4年前に30%を数えたのが、現在では10%になっています。売掛金に関しては、あまり不安はありません。また、担当者別の生産性分析等についても月平均の売上で3,000千円販売しているスタッフは4人で、全体の20名中の販売スタッフのうち20%です。
以上のことを踏まえ、谷先生がおっしゃるように、仮に赤字店をスクラップし、“選択と集中”をした場合、3人の分析では、向こう5年間のキャッシュフローの平均は9,000千円となります。

(経営コンサルタント 谷氏)
なるほど。いろんなことが見えてきましたね。では、ここで私も財務DD報告書と不動産鑑定書を拝見します。ちょっと1時間ほどお時間を下さい。皆さんも、それぞれの部門の確認と検証をお願いします。~1時間のセルフプランニングタイム~

(経営コンサルタント 谷氏)
お待たせしました。では始めましょう。財務DDと不動産鑑定書、そして事業DDでご報告頂いたことも踏まえて、ホワイトボードに要点を整理してみましょう。
なお、建物と土地の不動産価格は厳しい時代であることを踏まえ、“正常価格”ではなく、競売で利用される“特定価格”を使います。そして、事業用不動産は対象から外します。設備機械等の減価償却は通常通りなされているようですので、設備機械等は今回説明からは除きますね。

■表1;ホワイトボード  略

う~ん。財務DD報告書ではまだ未払金、未払費用についても指摘していますが、財務DDをやると、主要なポイントだけでも厳しいですね。池溜社長のご実家もやはり視野に置かないとダメなのか・・・。わかりました。いずれにしても、皆さん、およその姿が見えてきました。プロジェクトメンバーへの説明会で、関係者の奮起を期待します。
(経営者 池溜氏)
わが社もこの困難を乗り越え、次の世代に誇れる会社を残したいと思います。よろしくお願いします。                   (続く)

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前回迄のあらすじ;株式会社イケルは経営コンサルタントを招聘して、緊急取締役会を開催した。その場で、財務DD(資産の再評価)により約1億円程度の純資産のマイナス予想が出され、緊急取締役会の意思統一の下に、再生計画を策定することが決議された。
金融機関が再生計画を合意してくれるか、非常に重要な3ケ月間を迎えた。
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経営コンサルタント 谷氏)
池溜(いける)社長がおっしゃった「私財と地位を会社再生のために託します。これまで我が社についてきてくれた従業員の雇用を守るためにも、取締役諸君は幹部や中堅社員を巻き込み、しっかり取り組んで下さい。」というお話は大変重いご決断です。
其池(それいけ)部長、川取締役、藤取締役、武取締役、おわかり頂けますね?

(取締役一同)
もちろん、です・・・。社長、ご長男の幸一氏もこれからが大事。我々も第二創業期のつもりでしっかりと取り組ませて頂きます。

(経営者 池溜氏)
ありがとう。ここでは私情は禁物だ。幸一は営業の一課長に過ぎない。経営者になれるか、どうかは本人の努力と皆さんの協力があってこそだ。ただ、今回のことでしっかりと勉強してもらいたいと思う。よろしく頼む!

(経営コンサルタント 谷氏)
では、皆さん、今後はこのように進めます。池溜(いける)社長以下取締役の皆さんとは、3ケ月の間に再生計画を策定します。一方、幸一氏を中堅のリーダーとして、課長以上の5名程度のプロジェクトチームを設立します。その活動を、取締役の皆さんが支援して下さい。なお、課長以上のプロジュエクトでは、バランスドスコアカードの手法を使い、金融機関が再生計画を承認した後の戦略経営の推進エンジンとして展開して頂きます。
池溜社長も、取締役の皆さんもよろしいですね?

(経営者 池溜氏)
是非お願いします。こういった時こそ、岡目八目が大事です。いろいろとご指導下さい。なあ、皆?

(取締役一同)
谷先生、何でもご遠慮なくおっしゃって下さい。

(経営コンサルタント 谷氏)
わかりました。まず、再生計画について、方向性を決めましょう。
当初、メイン銀行の槍増支店長から中小企業再生支援協議会のご紹介を受けましたね?
実は、中小企業再生支援協議会の枠組みが平成20年11月7日の金融検査マニュアルが改定され、かつての“産業再生機構”の枠組みと同じように、“中小企業再生支援協議会主導による再生計画が尊重されることになりました。これは大きな変化で、金融機関が金融庁の検査を受ける際に、融資先格付けのエビデンス(証拠、根拠)になるでしょう。
だからこそ、メイン銀行さんの再生への応援が受けられるのです。
ところで、今の取引銀行はメイン銀行さんを含めて、5行でしたね、其池部長?

(経理部長 其池部長)
そうです。有利子負債の残高は2億円で4行です。それぞれの融資シェアは第一地銀のメイン銀行が60%、広域銀行のスーパー銀行が20%、政府系のサブ銀行15%、第二地銀が5%です。

(経営コンサルタント 谷氏)
ありがとうございます。それでは、次回、金融機関毎の担保や信用保証協会の保証等を含めた保全率を確認しましょう。所定の表により、作成をお願いします。
 それから、中小企業再生支援協議会には事前に相談もしていますので、公認会計士による財務評価(DD、デューデリジェンス)を行います。ただ、一応、これまでのヒアリングと協議で1億円ほどの債務超過額がそれほど大きくぶれることはないと思います。
そうすると、ポイントは2つです。
第一に、債務償還年数(=キャッシュフロー倍率)が10年以下か、どうか?つまり、過剰債務でない範囲にする必要があります。

第二に、フリーキャッシュフローで5年以内に、債務超過を脱却すること。ということは、各年度で約2000万円のフリーキャッシュフローです。但し、売上は横ばい以下の計画で、部門別、商品別、得意先別にしっかり精査します。希望的観測は禁物です。特に、減収減益で赤字体質なのですから、赤字の原因である問題点による出血を止め、減収増益にもっていくことが必要です。
 ところで、これまでと今期で、欠損金が1億円近くになります。欠損金の繰越(7期)税制を利用できるので、再生計画の5年の間、税金による資金の流出が抑えられ、純資産に充当できます。これから、詰めなければなりませんが、堅実に、我が社のフリーキャッシュフロー獲得能力が約1000万円とみて、単純合計で5000万円となります。債務償還年数から見ても、約5000万円過剰。つまり、差額の5000万円は赤字部門の土地建物の任意売却処分で埋めるか、池溜社長所有の個人不動産を任意売却することまで検討します。
 このシナリオで、リスケジュールによる再生計画で金融機関の合意を形成します。いやなに、債権放棄を要請する段階まで悪化していませんので、金融機関毎の公平性に配慮すれば大丈夫です。川取締役、藤取締役、武取締役、ともに部門別、商品別、顧客別等の分析、仕入・在庫等の分析、広告・販促費等の分析、担当者別の生産性分析等をしっかり進めて下さい。その上で、次回はプロジェクトメンバーへの説明会を開催します。(続く)

                                                   以上
【まとめ】再生局面ではトップの私情の排除とスピードが大事!
1. 岡目八目では再生計画は甘くなり、また、金融機関の納得は得られない。
2. 再生計画の策定では、明確な策定への方針を掲げて臨む。
3. 再生計画の過程では現場も交えたビジネスモデルの再構築を仕掛ける。


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2010年01月16日

【オリナスコラム】地方中小企業再生!<第6回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;株式会社イケルは、経営コンサルタントを招聘し、緊急取締役会を開催。金融機関に借入金元本のリスケジュールや債権放棄その他の対応を依頼するためには、取締役会メンバーの覚醒と意思統一が必要であった。そのために、中小企業の経営リスク対応チェックリストを活用して、取締役一人ひとりの
意見を求めるのだった。
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中長期業の再生計画は取締会メンバーの覚醒が必要。そして、取締会の全員参加と意欲ある幹部、中堅社員を巻き込み、トップが経営責任を取った後の経営体制を固めよ。

(経営コンサルタント 谷氏)
さあ、始めましょう。先ほど、これまでの我が社を振り返り、トップである池溜社長の力に負うところが多いと申しましたが、一方で、取締役がトップの分身として、経営戦略を方針化し、着実に実行に移してこそ、“よい結果”も生まれ、会社は伸びます。また、取締役にはトップに同調するばかりなく、意見具申や諫言も必要と申しました。
一方、経理部長の其池(それいけ)さんから、以前ご説明を頂いた通り、純資産が5000万円のマイナス、つまり、債務超過ですね。取締役会の通信簿という意味で、財務諸表をみてみると、如何なものでしょう?特に、部門別損益を見ていくと、多額の投資をした新業態店舗が大幅赤字で、全社の足を引っ張っていますね。
いずれにしても、これからは個人名称で批判、批評するのではなく、我が社のトップマネジメント(取締役会の機能)はどうだったか、を客観的に考えましょう。
(取締役 川氏)
そうですね。我が社が窮地に陥っている今こそ、我々、取締役も勇気を持って発言しなければなりませんね。
(経営者 池溜氏)
そうだ、是非、皆、そうしてくれ!
(取締役 川氏)
はい。今、チェックリストで一番反省するのは、「5.経営陣~①的確な経営目的、目標、方針を示す、②取締役会や都度、客観的な提案・意見を述べる、③権力者に追従せず、組織最適で行動する、④経営者の進んで指揮下に入り、補佐役を務める、⑤常に、経営姿勢、最新情報や理論、事例吸収の勉強を行う」
のところです。
我が社では、先生がおっしゃった新業態店舗を出店する際、あるいはこれまでもそうですが、新店舗を出すことについて、取締役会で市場分析や事業計画を吟味したか、と言われれば、そうではありませんでした。というのは、池溜社長は誰よりも事業を把握され、メーカー展示会や市場動向を深く研究されており、実際、打つ手も当たってきました。でも今回の新業態店の出店は、我が社の新しいチャレンジであるがゆえに、慎重に取組むべきでした。
(取締役 藤氏) 
そうですね。結局、事業計画の甘さ、でしょうか。
新業態店に関する売上予測は“期待値”で終始し、広告宣伝も新聞やTVのマス広告が中心で、ワンツーワンマーケティングが不十分でした。おまけに、店舗への投資額も、結局、金融機関に説明した予定額の1.5倍に膨れました。それこそ、我々、取締役が不甲斐ないんですね。
池溜社長にかなう能力を持つものは誰もおらず、社長と設計業者との間で“聖域”化して、誰も口を出せないんです。併せて、よりよい店を作ろうとするがゆえに、品揃えブランドやアイテムが増え、“基本在庫”という名目で、在庫が増え、運転資金を食う。つまり、投資資金が設備と在庫に硬直化したんです。
(取締役 武氏)
 そうですね。本当に、資金の使途がかなり偏りました。新業態店舗で、新しいブランドを周知するための広告宣伝や販売費もかけられなくなった。それで、来店客数も少ないのに、販売スタッフの販売力に過度に依存することになり、ノルマ管理に終始。今、考えると、新ブランド導入も最小限に抑え、既存店舗との間でスクラップ&ビルドを明確にし、また、プレスリリースやパブリシティももっと仕掛けるべきでした。
そして、何よりも、既存の顧客様に・・・。
(取締役 池溜(いける)氏)
 そうです!既存の顧客様にワンツーワンでお伝えし、お買い上げを頂く努力をしていたかも疑問です。もっと言えば、品揃えがかなりオタクな選択になっていた。さらに、“売上”の追及ばかりで、“回転”や“キャッシュフロー”がマネジメントできていなかった。結局、池溜社長がやっていることだからと、皆、お任せになってしまった。
(取締役・・・)
 結局、社長に営業部長の仕事をお願いしてしまったということか!
(取締役 川氏)
 それに、我々は取締役であるにもかかわらず、言われたことだけを遂行する管理者レベルの意識と行動しかなかったということか!社長に申し訳ない思いで一杯です。
(経営者 池溜氏)
 いや、私も、これまで指摘を受けたように、取締役会を軽視していたのは事実で、申し訳なく思う。許して欲しい。谷先生、お聴きの通りです。もう一度、取締役会の原点に戻り、再スタートを切ります。ご指導よろしくお願いします。
(経営コンサルタント 谷氏)
わかりました。“経営悪化の理由“は、新業態店の事業計画の甘さ(大幅赤字)、失敗であり、それを、取締役会がマネジメントできなかった。また、全社一丸のマーケティング体制も取れていなかった、ということでしょうか。いずれにしても、今の状態で約定通りの借入金の元本返済は困難。
今度は、私的整理~毎年のキャッシュフローの範囲に、借入金の元本返済を収めるリスケジュールを金融機関に要請すれば、再生は十分可能です。
実は、池溜社長と私で、以前お話した中小企業再生支援協議会に事前相談をしています。現在、取締役の皆さんが認識しておられる我が社の純資産は5000万円のマイナスです。
ただし、池溜社長や其池部長にお聴きすると売掛金や在庫の評価減、減価償却の未実施分もあり、財務DD(資産の再評価)をすれば、恐らく、約1億円程度の純資産のマイナスになるでしょう。
これから、今回の、緊急取締役会の意思統一の下に、皆さんと社内プロジェクトを作ります。
具体的には、売上や経費の中身を精査します。その上で、5年間は横ばいの売上計画を前提として、変動費の削減、固定費の見直しその他の合理化等により、費用を圧縮することで、約1億円の債務超過から脱却するキャッシュフローを獲得できる再生計画を策定します。
なお、この再生計画には、公的な中小企業再生の推進機関である中小企業再生支援協議会の後押しを受けて、私もお手伝いさせて頂くことが可能になりました。
それで、金融機関には暫定的ながらも3ケ月間、元本返済をストップしてもらえるでしょう。
ここでなんとしてでも、金融機関の合意が得られる再生計画が必要です。
一方、リスケジュール等の合意を受けるために、経営責任が問われます。
特に、この点で、池溜社長は、“経営責任は自分から”と個人不動産の売却と報酬の大幅カット、さらに社長の引責辞任を覚悟されています。
(取締役・・・) 
本当ですか、社長!
(経営者 池溜氏)
 谷先生のおっしゃる通りです。私も私財と地位を会社再生のために託します。これまで我が社についてきてくれた従業員の雇用を守るためにも、取締役諸君は幹部や中堅社員を巻き込み、しっかり、取組んで下さい。
(続く)
                                           以 上

【まとめ】再生局面では取締役会の合意形成と一丸体制を作れ!
1. 取締役会メンバーは、全社的かつ経営的視点で思考と行動。
2. トップが“自らの関与で聖域を作ると、取締役会は機能不全化。
3. 再生プロジェクトは取締役の全員参加と意欲ある幹部、中堅社員で実施! 
 ~その中に、次代経営幹部(再生を支える人材)が隠れている。

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【オリナスコラム】地方中小企業再生!<第5回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

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前回迄のあらすじ;臨時幹部会で、株式会社イケルの再生計画の概要が説明された。経営責任を取り、池瑠社長が取締役会長に退く出処進退が示されたとともに、池瑠幸一課長を社長に、かつ、それぞれの取締役や幹部の今後の人事等が示され、経営者の交代と経営の承継への方向性が内部決定。いよいよ全社員の前で発表されることになった。

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事業再生は金融機関との折衝が成功することで終わるのではない。むしろ、少なくとも2年間は新規融資が期待できない経営環境下での、困難を伴う再生計画期間の始まりだ!


~池瑠社長、取締役、幹部、従業員が揃う全体会議にて~


(経営者 池溜氏) 
皆さん、毎日ご苦労さま。忙しい中に集まってもらったのは、ほかでもない我が社の経営問題のことです。皆さんには、かねてからの売上減少から、賞与削減を強い、かつ、仕入れや経費の大幅削減も要請し、かなり厳しい思いをさせていることで、経営者として、責任を痛感しております。
 今回、メイン銀行から公的な再生支援組織である再生支援協議会の紹介を受け、メイン銀行のご理解の下、専門家の経営コンサルタント谷先生にご協力頂き、お取引先やお客様に迷惑をかけない私的整理の枠組みによる再生計画を策定することになりました。当分の間、金融機関さんには借入金の返済を猶予頂き、企業を立て直すことになります。
そのため、経営者の責任も明確にする必要があり、私は私財を売却して、債務を一部返済し、かつ、社長を降り、取締役会長に退きます。そして、困難を伴う再生計画期間を乗り切る社長には、取締役会や幹部会のメンバーの了解も受けて、池瑠幸一課長に引き受けてもらいました。彼をリーダーにして、時代に対応できる新しい組織体制でスタートをします。これまで、取締役会の皆や店長等の幹部の皆さんと再生計画を一緒に検討してきました。これからの5年間の再生期間で、再生計画の利益次第ではもともとささやかな賞与も出せるかどうかわかりません。それでも、従業員の皆さんとより一層頑張っていきたいと思います。どうぞご支援下さい。
ここで、再生計画の策定にあたり、ご支援を頂いている経営コンサルタントの谷先生に一言お話を頂きます。

(経営者 池溜氏) 皆さん、毎日ご苦労さま。忙しい中に集まってもらったのは、ほかでもない我が社の経営問題のことです。皆さんには、かねてからの売上減少から、賞与削減を強い、かつ、仕入れや経費の大幅削減も要請し、かなり厳しい思いをさせていることで、経営者として、責任を痛感しております。 今回、メイン銀行から公的な再生支援組織である再生支援協議会の紹介を受け、メイン銀行のご理解の下、専門家の経営コンサルタント谷先生にご協力頂き、お取引先やお客様に迷惑をかけない私的整理の枠組みによる再生計画を策定することになりました。当分の間、金融機関さんには借入金の返済を猶予頂き、企業を立て直すことになります。そのため、経営者の責任も明確にする必要があり、私は私財を売却して、債務を一部返済し、かつ、社長を降り、取締役会長に退きます。そして、困難を伴う再生計画期間を乗り切る社長には、取締役会や幹部会のメンバーの了解も受けて、池瑠幸一課長に引き受けてもらいました。彼をリーダーにして、時代に対応できる新しい組織体制でスタートをします。これまで、取締役会の皆や店長等の幹部の皆さんと再生計画を一緒に検討してきました。これからの5年間の再生期間で、再生計画の利益次第ではもともとささやかな賞与も出せるかどうかわかりません。それでも、従業員の皆さんとより一層頑張っていきたいと思います。どうぞご支援下さい。ここで、再生計画の策定にあたり、ご支援を頂いている経営コンサルタントの谷先生に一言お話を頂きます。
(経営コンサルタント 谷氏)
ご紹介頂きました谷です。ご縁を頂きまして、ありがとうございます。池瑠社長からお話頂きましたように、株式会社イケルは再生支援協議会の支援の下で、再生計画を策定しています。これは、取引先やお客様に迷惑をかける俗にいう倒産とか、法的整理ではありませんので、ご安心下さい。ただ、メイン銀行も含め、5行の金融機関に借入金返済の繰り延べを要請し、ご迷惑をおかけしますので、納得の得られる再生計画を策定し、了解の下で、再生計画をスタートさせなければなりません。 その再生計画も、社長や幹部の皆さんと検討してきました。
社長からの私財提供や経営責任の明確化さらには新規事業の譲渡や本業重視の経営戦略への回帰等が決定し、金融機関が納得できる再生計画に仕上がったと思います。
再生計画は、金融機関の折衝のために必要ですが、もっと大事なことは、再生計画を策定する過程で困難の荒波を乗り越える経営者や幹部、従業員の皆さんの絆を深めることです。この後、新社長になる池瑠幸一課長から、今後の経営戦略と体制についてお話を頂きますが、どうぞご協力をお願いします。

(中堅幹部・後継者 池溜幸一課長)
池瑠です。お疲れ様です。社長と谷先生からのお話に驚かれていると思います。私たち中堅幹部もそうでした。ただ、これまでの状況から決して会社が順調でなかったことはご理解頂いていたと思います。
幸い、相談会社10社に1~2社程度しか条件に当てはまらない再生支援協議会の支援の枠組みを活用でき、谷先生もおっしゃって頂いたように、きちんと説明できる再生計画が策定できたと思います。ただ、例えば5年間という再生計画期間中は、再生計画達成のため、お互いに、厳しい価値判断基準で仕事に邁進しなければなりません。一方、私は株式会社イケルを思う気持ちは誰にも負けませんが、新社長になる身としてはわからないことだらけです。皆さんのご協力をよろしくお願いします。では、我が社の今後の経営方針や体制の概要をご説明します。
1) 今後、株式会社イケルは本業重視の経営戦略に回帰します。新規事業の「衛星放送とe-ラーニング事業の受験予備校」は事業譲渡します。
2) 株式会社イケルの経営責任を明確にするため、池瑠社長が取締役会長に退かれるとともに、役員報酬を六分の一に大幅削減されます。
3) これまで株式会社イケルで絶大なる貢献をして頂いた武取締役と藤取締役が株式会社イケルの取締役を退任され、新会社を設立。
先ほど述べた株式会社イケルの新規事業「衛星放送とe-ラーニング事業の受験予備校」を引き継いで頂きます。これから、お二人とは、新しいパートナーシップ関係です。
4) 私の社長としての経験不足分を補うため、取引先の信任が厚く、顧客も良く知っておられる川取締役に常務取締役の任を受けて頂き、また、定年退職を迎えられる其池部長には嘱託顧問として引き続き経営管理を指導して頂きます。
5) それ以外の重要な体制としては、営業統括の取締役に、村田店長。本店部長に、山野店長。課長として、尾島店長、串間店長。経理体制は、其池顧問のご指導の下、管理部門の課長として、山田係長にそれぞれお願いします。幹部陣の体制は以上の通りです。いずれも社長や常務、取締役、部長、課長を担って参りますが、責任重大です。
皆さんが働いて頂いている株式会社イケルを再び安定軌道に乗せるため、再生計画期間中のご協力を何卒よろしくお願いします。

                     ~一同、うなずく~          (続く)

【まとめ】経営者交替、企業の承継がスムースであれば、再生計画も半ば成功!
1. 新旧経営者交替の際に、現経営者の果たすべき役割は非常に大きい。中小企業の場合には、古参の幹部をどう処遇するか、されるかは大きな意味を持つ。しっかりとコミュニケーションし、新経営体制に禍根を残さないことだ。
2. 新経営者がバトンを受ける際には、経営者の“私心を捨て、職務に対する誠実さ”を旨とする。人事の背景にある経営者の心が全員の気持ちに届いた時、再生計画は半ば成功する、と言っても過言ではない。

by 21世紀経営クラブ 株式会社オリナス 谷口行利

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