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2008年04月24日

【オリナスコラム】地方中小企業再生!<第1回>あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?

地方中小企業の経営者 池溜(いける)氏は、決算書を携え、7月末に迎える運転資金の借り換えをしようとメイン銀行優秀支店の槍増(やります)氏を訪問した。
(経営者 池溜氏) 

「いつもお世話になります。前期30期決算は、努力したんですが、お客様も景気が悪くて、減収になり、500万円の赤字でした。まあ、こんなこともありますな。でも今期はいつもの気合で挽回しますよ。ハハハ!」

 

  今回から、「“地方”中小企業の再生」をテーマにコラムを書かせて頂きます。
まずは、“地方”とは、東京を核とする首都圏、名古屋を核とする中部圏、大阪を核とする関西圏を除くエリアのことを指します。または、“中小企業”の定義は、中小企業基本法上の定義により、以下のようになります。


<業種:従業員規模・資本金規模>
製造業、運輸業、建設業その他の業種:300人以下又は3億円以下
卸売業:100人以下又は1億円以下
小売業:50人以下又は5,000万円以下
サービス業:100人以下又は5,000万円以下
 私は株式上場の総合経営コンサルタントから身を転じ、中小企業様の経営幹部を経て、ベンチャー・中小企業を支援させて頂く経営コンサルタントであり、中小企業経営者でもあります。現在、経営コンサルティングの中でも、苦境に陥った地方中小企業の、再生に心を砕くようになり、その現場にあって事業の再構築をサポートさせて頂いております。その実務体験を踏まえて、“地方”中小企業の再生について、経営者及び経営幹部はどのように考えていくべきか、を読者の皆様とご一緒に考えてみたいと思います。

メイン銀行の融資姿勢が変わった~ある地方中小企業ストーリー>>>
 3月決算で、5月に税務申告を終えた6月のある日。

地方中小企業の経営者 池溜(いける)氏は、決算書を携え、7月末に迎える運転資金の借り換えをしようとメイン銀行優秀支店の槍増(やります)氏を訪問した。
(経営者 池溜氏) 
「いつもお世話になります。前期30期決算は、努力したんですが、お客様も景気が悪くて、減収になり、500万円の赤字でした。まあ、こんなこともありますな。でも今期はいつもの気合で挽回しますよ。ハハハ!」
(メイン銀行優秀支店 槍増氏)
「こちらこそ、ありがとうございます。A社長はいつもパワフルですね。どれどれ拝見します・・・500万円の“赤字”ですか・・・」
(経営者 池溜氏)
 「それで、いつもの通り、7月末の借り換えをお願いしたいんですが。」
(メイン銀行優秀支店 槍増氏)
 「了解しました。置家(おけ)支店長に報告して、本部に打診してみます」
 「でも、どうして赤字決算になったんですか。今期の業況は如何ですか?」
(経営者 池溜氏)
 「えっ、優秀支店のご意向は大丈夫なんでしょうな?」
(メイン銀行優秀支店 槍増氏)
 「優秀支店としては、そのつもりですよ。いずれにしても、置家支店長に詳細を報告した上で、本部に稟議をあげてみます。3日後にご連絡致しますね」

経営者 池溜氏は、なんとなく釈然としなかった。
これまで、決算報告の場には、必ず優秀支店の置家支店長も同席して、そこで相談する7月末の借り換えはスムースに進んだ。ただ、今回は、置家(おけ)支店長最初の挨拶だけで、同席なし・・・何か、変だが、考えてみると月末訪問だったからな。それに、メイン銀行との付き合いも30年になるし、大丈夫に違いない・・・と自分に言いきかせた。

それから、3日後、運転資金の借り換えを相談した経営者Aの元に、メイン銀行の担当者から訪問したいとの連絡が入り、メイン銀行の遣増氏が経営者池溜氏との面談の場でのやりとり。
(メイン銀行優秀支店 槍増氏)
「あの後、早速、本部に稟議をあげたのですが、我がメイン銀行も当局の指導を受けて、貴社の5000万円の借り換えは難しくなっています」
(経営者 池溜氏)
「どうしてですか?これまで、貴社以外の金融機関に浮気したこともないし、ましてや延滞したこともない。借入れの枠もまだあるでしょう?」
(メイン銀行優秀支店 槍増氏)
「承知しております。ただ、今回は・・・場合によっては他行さんをあたって頂いても結構です」
(経営者 池溜氏)
「そんなことを言われても、担保は貴行に差し出しているので、厳しいですよ。」
「おまけに、借り換えする余裕資金なんてありません。どうすればいいんですか?」
(メイン銀行優秀支店 槍増氏)
「申し訳ありません。いつもですと、対応させて頂いていたんですが、今回の赤字決算ではなんとも・・・」
「それでは、中小企業再生支援協議会(※1)に相談してみませんか?“再生”といっても、中小企業の視点で、前向きな“再生”支援もありますよ。貴社の再生支援にいろいろなヒントがあるでしょう」
(経営者 池溜氏)
「“再生”・・・(絶句)」
経営者 池溜氏にとって、思ってもいなかった“再生”という言葉。売上もそこそこで、メイン銀行の支店長はもとより、重役も年末年始の挨拶に来てくれていたのに、なぜ?という思いもぬぐえない。
 
格付けされる地方中小企業~地方中小企業に選別淘汰の波>>>
 
この会話は現実のものです。直接金融の手段に恵まれた上場企業や大企業と違い、 金融機関からの資金調達を命綱とする地方中小企業にとっては一大事。
ましてや、資金繰りは創業からの番頭格の取締役や経理責任者に任せているというのは、経営上のリスクマネジメントが行き届いているとは言えません。
現在、当局が金融機関を検査する際の「某検査マニュアル」では資金を借りている企業の“債務者区分”の基準を設けて、指導しています。
金融機関は債務者区分の低い融資先を持つと、相当の引当金を積むことになり、自己資本比率が下がります。なお、引当金の割合は、金融機関によって異なります。
そして、金融庁の定める基準を下回ると、某R銀行のように公的資金の導入⇒国有化となります。それを避けるため、融資を引き上げたり、不良債権化した企業の担保物権を競売にかけたりして、回収を計ります。
債務者区分の例は、以下の通りです。
(1)正常先;債権額の約5%を引当金として計上
  ※業況が赤字でも経営者の保証能力があり、資産内容が問題なければ、正常先と判断される。
(2)要注意先/要管理先;債権額の約15%を引当金として計上
  ※事業継続には、懸念がないけれども、今後の管理の仕方に注意を要する
(3)破綻懸念先;債権の約75%を引当金として計上
  ※元本と利息が回収できない懸念がある
(4)実質破綻先;債権の約85%を引当金として計上
  ※過大な借入金があり、相当な期間、債務超過に陥っている
(5)破綻先;債権の100%を引当金として計上
  ※法的に、経営破たんの事実が発生している債務者
この金融機関からみた債務者区分、つまりあなたの会社の通信簿をご存知ですか?
経理業務は担当取締役、社員任せでも、“資金繰り”マネジメント、つまり、資金繰りを万全かつ安定化させる手を打つのは地方中小企業の経営者の重要な仕事です。
この債務者区分についての詳細は、次号で触れたいと思います。

       

 

          by 21世紀経営クラブ 株式会社オリナス 谷口行利

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【21世紀経営クラブ】経営ワンポイント情報・不易流行『人を育てる』

一度はぜひ味わっていただきたい本がある。
森信三先生の「修身教授録」(致知出版社刊)である。
森信三先生を良くご存じでない方は神渡良平先生の
「『人生二度なし』森信三の世界」(佼成出版社刊)を先に読まれることをおすすめ
する。

森信三先生の言葉で心に残る言葉がたくさんあるが、
もっとも強烈に私の心に突き刺さった言葉が三つある。

「私は『人生二度なし』という冷厳な事実に目覚めるところからすべては始まると思
うのです。
この世に人間として生まれたからには、二度とない人生だからこそ、
この一日一日を真剣に生き抜き、精一杯充実したものにしなければならないのです」

「教育とは流れる水に文字を書くようなはかない仕事です。
しかし、それをあたかも巌壁にノミで刻みつけるほどの真剣さで取り組まねばならな
いのです。
教師が己自身赤々と命の火を燃やさずしてどうして生徒の心に点火できますか。
教育とはそれほど厳粛で、崇高な仕事なのです。
民族の文化と魂を受け継ぎ、伝えてゆく大事業なのです」
教師を経営者、生徒を社員と読み替えて下さい。

「人間は一生の間に会うべき人に必ず会わされる。それも一瞬早すぎもせず、遅すぎ
もしないときに」

この3つの言葉は、いつも感じていたもどかしさをものの見事に表現してくれていま
した。

人の出会いは偶然ではなく必然だという考え方には共鳴していたが、
森信三先生のような的確な表現はとても説得力があり、納得することができた。
だから、私にご縁のある方々は、社員も含めてすべて、会うべき人なのだという風に
思えるようになった。
たとえ、その方が、私にとってプラスの人であろうとマイナスの人であろうと、
受け入れることができるようになったことは事実である。

成長の早い人を基準にすると、遅い人はとても時間がかかり途中で投げ出してしまい
たくなるものだが、
森信三先生の言葉を借りれば、
「流れる水に文字を書くようなはかなさ」から比べればはるかに簡単なことである。
しかも、その人との出会いは必然なのだから、何としても育てなければならない。
ならば、どうするか。
その人の心に火をつけるには、どうしたらよいか真剣に考えるしかないのである。
火だね(経営者)、材料(社員の持ち味)、空気(環境)がそろって初めて火がつく
ことを考えれば、
何をしなければならないかおのずと見えてくるのではないだろうか。

    by 21世紀経営クラブ ㈱目加田経営事務所 目加田博史
 

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【21世紀経営クラブ】経営に役立つISOシリーズ-プロを育成する仕組みにしましょう-

ある建設会社での審査機関の審査の場面です。審査員は審査の後半で品質管理責任者に対してインタビューをしています。 審 査 員:今日は各部門の審査をしましたが、どの部門も「6.2人的資源」の項目が仕組みとして弱いと感じました。御社では、人材育成というのは重要なテーマではないのでしょうか?
管理責任者:そんなことはありません。当社は、公共工事主体から民間の工事やリフォームなどにこれから力を入れていきますので、能力開発は重要です。
審 査 員:そうですか。それならば、現場代理人や営業担当者に求められる能力も変わってきているわけですね。人材育成は進んでいますか?
管理責任者:ヒトはそう簡単には変わりませんよ。地道にやっていこうと思っています。
審 査 員:そうですか。ちょっと気になるのは、例えば、「要員(社員)に必要な能力を明確にする」という規格の要求事項について、御社では、公的資格を挙げています。確かに公共工事では、そのような考え方で良かったのかも知れませんが、先ほどのお話の様に民間の仕事もどんどんやるようになると、十分ではないように感じます。
管理責任者:確かにその指摘は当たっているところもあります。民間工事では、公的資格を要求されるというよりも、細かな顧客ニーズに対応できる能力が要求されます。
審 査 員:会社や顧客が求めるそのような能力を具体的に示さなければ、社員の皆様も自覚したり、目指したりできないのではないでしょうか?
管理責任者:そうですね。口では、常に言っているつもりですが、なかなか進まないのはそういうことが原因かも知れません。
審 査 員:例えば現場代理人ひとつとっても、各社の方針や戦略によって「目指す姿」は違うはずです。ISOの規格では、それを文書化せよとは要求していませんが、是非御社流の現場代理人像を上手く明確にして下さい。
管理責任者:分かりました。検討してみます。

1.能力の明確化が適切か見直ししましょう
ISO9001の規格では、「製品品質に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量を明確にする」(6.2.2 a項)ことを要求しています。つまり、「どんな人材がこの業務を行うために必要なのか会社としてしっかり示す」ということです。常日頃、社長や幹部の皆様は社員の方々に「勉強しろ」と伝えているはずですが、この項目を連動してしっかりと明確化されているか見直ししてみましょう。
                   《業務に求められる能力》
    必要な教育・訓練
    求める資格・技能
    求める経験
    1. 公的に受講を要求されている講習・セミナー以外に、会社として、是非受けてほしい講習・セミナーは何かを示しましょう。
    2. 先輩や上司からOJTの指導を受けて、身につけなければならない項目を具体的に示しましょう。
    1. 求められる公的資格以外に、会社の戦略上、持っておきたい資格(民間資格も含めて)を示しましょう。
    2. 公的資格以外に社内資格を求める資格として位置付けしましょう。
    1. 独りで業務を担当できるようになるためには、どんな経験(回数、内容)を求めるか示しましょう。
    2. 独りで業務を担当できると判定する手続きも明確にしましょう。(誰が、いつ、どのように)
2.プロ育成のために社内資格を活用しましょう
  建設業の現場代理人や社内検査員などのように各社で社内資格を明確にし、社員の能力開発に活用することをご提案します。社内資格者に認定されるための基準もしっかりと厳しく設定し、プロとなるための能力開発を進めていきましょう。

社内資格のメリット
①プロ意識を向上させたり、やりがいづくりができる。
②高いスキルを認められているという自信を持って社員が業務を行うことができる。
③定期的に再認定の評価を受けることでマンネリ化を防げる。

 

          by 21世紀経営クラブ ㈱目加田経営事務所 根橋弘行
 

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【オリナスコラム】コーチングコラム<第41回>何でも言い合える そんな仲になるための秘訣です

そろそろ慣れてきた頃だけど

新しい出会いの季節もようやく落ち着いてきましたね。
皆さんはどんな人と知り合いになれましたか?
特に学生さんや新入社員の方、もう周りの人と仲良くなれたでしょうか?

この季節、新しい人間関係も慣れてきた頃でしょう。
ですがまだ「何でも言い合える」という関係になかなかなれない人も多いんじゃないかな。
もともと人付き合いの得意な方はそうでもないでしょうが、ちょっと内気な人は自分を外に出せずにモジモジ。
仲間はできたけれど、まだ何でも言い合えるってとこまではいかない。
さて、どうしたら何でも言い合える仲になれるのでしょうか?
それにはちょっとしたコツがあったんです。


コツは「フラット」な関係

そもそも、何でも言い合える仲ってどんな関係?
上司と部下、これはちょっと難しいですよね。
先輩と後輩、これもなかなか。先生と生徒、まだまだギャップがありそう。
このように、相手との関係の上下に差があると、自分のことをなかなか話し出せないもの。
心の中のどこかで相手に恐縮しちゃうんですね。
実はこれは年齢の格差だけではないんです。
相手との間で自分のことを言い出せない人って、相手を自分よりも下の位置に置いてしまっています。
例え同級生でも、それが出てしまっちゃうんですよ。
で、つい言葉が出てこなくなる。
だからこそ、フラットな関係がとても重要なポイントなのです。
でも、一度相手を上に見てしまうとその間計はなかなか崩せないもの。どうすればいいのか?
まずは心の中にあるクセをつけて下さい。それは「人と比較をしないこと」です。
「あ、あの人はこれができるのに、私にはできない…」
こういった思考をやめること。
「あ、この人にはこれができるんだ」と、ここまででやめておきましょう。
思考にはクセがあります。
こうやって人と自分を比較することをやめると、自然に自分の位置が上がっていくことに気づくでしょう。
自分は自分、なのですからね。


あなたも気をつけて

「いやぁ、自分はどんな人でも自由に言い合える性格だよ」そんな人もいるでしょう。
が、その人こそ要注意!
実はあなたのその性格が原因で、何でも言い合えない人を生み出す危険性もあるのです。
例えば「なんで、どうして?」という質問。
これは相手がこちらの思った通りに動かなかったときについ出てくるもの。
この時点であなたは相手を動かそうとしている。
つまり相手を下に見ている証拠なのです。
また何でも気軽に相談に乗ってあげようとするアドバイス魔も要注意。
こういった性格の人は、建前としては「人の役に立ちたい」ということなのでしょうが、心の裏では「自分の力を誇示したい」という心理が働きます。
ここでアドバイスをすることで、相手に対して自分を有利に働かせる。
そんな深層心理が働くこともあります。
本気で何でも言い合える仲。
それは相手との間に上下が無く、常にフラットな関係。
今一度自分の人間関係を見直してみて。
そして何でも言い合える人間関係、作ってみましょうよ。

コーチ ユーアンドミー 古賀 弘規(オリナスパートナー)

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【オリナスコラム】プレゼンテーション物語<第17話>出てこない質問を出させる

プレゼンテーションでは説明よりも質問の投げかけで双方向性を高めることが重要であることを学んだエコ・フレンドリー社の面々。
そして古谷さんはさらに高度なテクニックをメンバーに伝えようと考えているようです。

登場人物

浜田部長:エコ・フレンドリー社の営業部長 柔和な性格
清水課長:エコ・フレンドリー社の営業課長 物事をスパスパ切るのが得意
大野さん:エコ・フレンドリー社の総務女性 不安性な性格
河野くん:エコ・フレンドリー社の営業担当 広報の腕はピカ一なのだが…
古谷さん:プレゼンテーションアドバイザー 穏和な中にも厳しい言葉が特徴

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プレゼンテーションでは説明よりも質問の投げかけで双方向性を高めることが重要であることを学んだエコ・フレンドリー社の面々。
そして古谷さんはさらに高度なテクニックをメンバーに伝えようと考えているようです。

古谷さん「だいぶプレゼンテーションの組立ができてきましたね。
     ところで質疑応答のための時間をつくっておく、ということはお話しましたよね」
浜田部長「えぇ、やはり興味が湧けば質問とか出てくるでしょうからね」
清水課長「でもああいった場で手を挙げて質問するのって、ちょっと勇気がいりますよね。
     あまり目立ちたくないし、それにこんなこと聞いたらバカにされるんじゃないかってつい思ってしまって」
河野くん「えぇ、そうですか?
     ボクは結構平気で質問しちゃいますけどねぇ」
大野さん「それは河野くんの神経が図太いからでしょ。
     私みたいに繊細な人は、なかなか質問なんてできないのよ」
河野くん「そ、そうかなぁ…とてもそうは見えないけど…」
大野さん「え、何か言った?」
古谷さん「あはは、まぁああいった場で質問できるかどうかというのは当人の性格にもよるでしょうが。
     けれどもったいないのは、清水さんのように質問をしたくても周りの雰囲気に押されて質問できない場合です。
     その商品に興味が湧いたからこそ質問したくなったのでしょうが、ここでそれができないとなると一気に購入意欲も縮小してしまいますからね」
浜田部長「だからこそ、プレゼンの後に自社ブースに導いて個別に対応するのでしょう?」
古谷さん「えぇ、確かにそうなのですが、そういう人は自分の足で進んでその会社の人に話しかけたりできないものです。
     せっかくの優良見込み客なんですけどね」
清水課長「だったらどうすればいいのでしょうか…
     あ、アンケートを取って興味があるか無いかを調査して、あとでこちらから電話をかけるとかすればいいのか」
古谷さん「まぁそういう手もあります。
     しかし、それだと今沸き立った購入意欲のチャンスを逃してしまうこともあります。
     さて、皆さんだったらどうしますか?」

古谷さんの問いかけに黙り込んでしまう一同。
いくら頭をひねっても、その答えは出てこないようです。
そこで古谷さんはにやりと笑って、こんな言葉を投げかけました。

古谷さん「じゃぁ、今思っている考えを四人で簡単にディスカッションしてみて下さい。
     どうぞ」
河野くん「ボクはせっかくのお客を逃さないように、他のメンバーがお客を観察してチェックしておくというのを思いついたんですけど」
清水課長「それはちょっと難しいぞ。
     どういった態度を取っているのが見込み客なのかわからないからな」
浜田部長「そもそも質問がでてきにくい雰囲気というのが問題なんじゃないのかね。
     もっと意見が出やすい雰囲気をつくるというのが必要だよ」
大野さん「意見が出やすい雰囲気…どっかで体験したような…あーっ!」
河野くん「大野さん、どうしたのよ、ビックリしたぁ」
大野さん「わかった、わかったのよ。
     これよこれ、この状態が必要なのよ」
浜田部長「大野くん、一体何がわかったんだい。
     もっとわかりやすく説明してくれないか」
大野さん「ほら、さっき古谷さんが『皆さんだったらどうします?』って言ったときは一人ひとりで考え込んでいたでしょ。
     でもみんなでディスカッションしてみてって言ったら、それぞれが思っていることを口にしたじゃない。
     この状態がつくれれば、問も出やすいんじゃないの?」
清水課長「あ、なるほどねぇ」
古谷さん「大野さん、さすがいいところに目を付けました。
     それが正解です。
     人は大人数の前ではなかなか口を開けませんが、3~4人の小さな集団になるとワイワイ、ガヤガヤと話をしやすくなります。
     こういうのをバズ、もしくはバズセッションといいます」
河野くん「バズってどういう意味ですか?」
古谷さん「バズとは英語で『Buzz』と書きます。
     意味はガヤガヤした状態のことなんですよ。
     主婦の井戸端会議みたいな雰囲気のことですね」
清水課長「なるほど、ウチの女房も井戸端会議になるとやたらと長く話し込んでしまうからなぁ」
古谷さん「これをプレゼンテーションの締めに応用するのです」
浜田部長「どんなふうに応用するのですか?」
古谷さん「こういうのがいいでしょう。
     プレゼンテーションが一通り終わったら『今お伝えしたことについてどのようにお考えか、周りの方と話をして下さい』と伝えます。
     ここでの時間は2分程度でいいでしょう。
     そしてその後『何か疑問点やご意見などが出てきたらお答えしますがいかがでしょうか?』と問いかけるのです」
河野くん「あれ、結局皆さんからの質問を受け付けることになるのでしょう。
     だったらバスをやってもやらなくても同じ事じゃないですか?」
古谷さん「これが大きく違うのです。
     個人の意見として質問するのは難しいけれど、周りの人たちと組んだグループの意見として質問するのはやりやすくなります。
     これは会議で意見を引き出しやすくするテクニックの一つでもあるのですよ」
浜田部長「なるほどねぇ。
     確かに個人の意見として口にすると、その発言責任がすべて自分にふりかかる感じがしてしまう。
     しかし何人かで話したことを代表として口にするのはそれほど気が重くはないな」
大野さん「それに私が発言しなくても、誰かが私の疑問を代弁してくれるってこともあるわね」
古谷さん「そうなんです。
     バズで質問を出させ、それに対して簡単に回答をする。
     そして『あとの詳しいことは弊社のブースでお伝えしますのでぜひいらして下さい』とすると、とても足が運びやすくなるのです」
河野くん「そうですよね。
     またこちらもプレゼンが終わってから質問が出たグループに対して営業をやりやすくなりそうですね」
古谷さん「人というのは、自分が考えたことを受け入れてくれる人に対してすぐに信頼と親近感が湧いてくるものです。
     そうなればこちらがさらに商品の説明をしても、売り込みではなくアドバイスや提案として聞き入れてくれやすくなりますよ。
     このバズを取り入れるのはちょっと高度なテクニックではありますが、ぜひとも挑戦してみて下さい」

古谷さんの言葉に、エコ・フレンドリー社の面々は大きくうなずいた。

<続く>


●今回のポイント
1.質問をする人は商品に興味を持っているので、その後の営業がやりやすい
2.質問したくても性格的になかなかできない人がいることを忘れないように
3.質問を促すにはバズを活用してみるとよい

古谷さんからプレゼンテーションの流れを一通り学んだエコ・フレンドリー社の面々。
次はいよいよ工業展示会での本番です。
プレゼンターとなる河野くんは果たしてうまくやれるのか?
また他のメンバーは営業活動をうまくつなげることができるのか?
それは次回のお楽しみです。

コーチ ユーアンドミー 古賀 ひろのり(オリナスパートナー)
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