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オリナスコラム【第1回】「経営者とはどういう人たちか」  経営リスク回避のために~中小企業の取締役機能を考える(第1回)

 近頃大企業の倒産や不祥事事件が相次ぎ、経営者が深々と頭を下げる姿をテレビで度々目にする。原因を探っていくと、経営者に問題があったということが多いようである。

 では、経営者とはどのような人たちのことをいうのか。商法上、経営者とは取締役のことである。取締役になるためには、法律上特別 な資格などは必要とされず試験などもない。未成年者でもなることができる。商法では広く人材を登用することができるように、一定の事由(欠格事由)に該当する者がなることができないとしているだけである。

 しかし、会社規模の大小を問わず、経営者は経営に関するプロフェッショナルにならなければならない。それは決してスーパーマンのような姿を求めるものではない。経営のために必要な知識、能力を習得し高めていく姿勢が求められているのである。

 例えば、経営学的な知識、能力ももちろん必要であろう。しかし、今まさに求められているのは、会社の組織や管理運営、取引に関する法律知識や その運用能力であり、違法な行為を行わないという当然の心構えである。

  よく取締役になるというのは、サラリーマンにとってのゴールであるとか、会社のオーナー社長となれば一国一城の主として頂上を極めたという言い方がなされる。しかし、取締役の義務とか責任については、あまり意識せず勉強もしていなかったため、責任を追及されて初めて取締役の重責を認識するということも稀ではない。

 例えば、取締役会は代表取締役の業務執行を監督する義務がある。代表取締役の専横を見て見ぬ ふりをして、会社に損害が発生した場合には、平取締役でも監視義務違反で損害賠償責任を負わなければならないこともある。近時の株主代表訴訟では、830億円の賠償が認められた大和銀行事件は別 としても、数千万円から数億円の賠償が認められるようになってきている。

 中小企業の取締役では負担することが困難な金額になることも多いし、被告取締役が賠償金の支払い完了前に死亡した場合には、相続人が賠償債務を引き継いで支払わなければならないという場合もある。そして、取締役としての義務を果 たさず、会社の不祥事事件を防止できなかったために会社が倒産すれば、多くの関係者に迷惑をかけることにもなる。

  このような事態に陥ることを防ぐためも、商法を中心とする経営や経営者に関係する法律を学ぶ必要がある。でたらめに操作してもコンピューターが動かないのと同様に、商法は技術的な性格が強く、その規定内容を知らなければ運用することができない法律である。

 このコラムにおいては、これから経営および経営者に関係する法律の基本的仕組みなどを述べてみたいと思う。ただ、商法(特に会社法)は法改正が頻繁になされている。平成に入っても、2年、5年、6年、9年、11年、12年と改正され、さらに株主代表訴訟規定の見直しや会社法の抜本的改正もここ1,2年の間に予定されている。経営者は常に最新の情報を収集し、速やかに対処すること ができるようにしておかなければならない時代である。