オリナスコラム【第14回】 平成17年商法改正と中小企業経営 (H17.3月)
その1.会計参与
平成16年12月8日法制審議会会社法(現代化関係)部会は、「会社法制の現代化に関する要綱案」(以後要綱案と略す)を決定し、現在開会中の通常国会での成立を目指している。
その内容は多岐に渡り、現在の商法典第2編(会社編)・有限会社法・商 法特例法を単一の会社法(仮称)にまとめる、条文を平仮名口語体に改める、その内容も大幅に改正するということである。作業としては法務省において要綱案を条文化し国会における審議、決議により成立するので、要綱案の内容にも修正が加えられる可能性もある。
そこで、要綱案の中で特に中小企業に関係すると思われる部分をピックアップして紹介する。まず、「会計参与」について説明する。 要綱案では、株式会社の新しい機関として会計参与の新設を規定している。会計参与とは、取締役、執行役と共同して、計算書類を作成することを職務とするものである。
1. 会計参与は定款で設置する旨を定めることができる。したがって、設置を義務づけられるものではない。
2.会計参与の資格としては、公認会計士(監査法人を含む。)又は、税理士(整理私法人を含む。)でなければならない。
3.会計参与は、株主総会で選任し、その任期、報酬などについては、取締役と同様の規律に従うものとする。
4. 職務について、計算書類の作成以外に株主総会において計算書類に関する株主の質問に答える。会社とは別に計算書類を5年間保存する。株主・債権者の求めにより計算書類を開示するといったことが挙げられている。
5. その責任についても取締役に準じるもの(株主代表訴訟の対象となる)とされている。 会計参与について商事法務1,721号に掲載されている解説(江頭憲治郎東京大学教授による)では、会計監査人を置かない会社で税理士を会計参与に選任して、中小企業が適正に計算書類を作成できるようにすることを目的とするとされる。
会計参与は、会計監査人のように会社の計算について監査するのではなくて、経営者と協力して計算書類を作成することが職務である。このことは中小企業では実際上税理士が計算書類を作成している現状を法律の上でも制度化しようとするものであるとされる。
ただし、その設置は任意であるので、どの程度の会社が会計参与を選任するかは不明であり、また税理士なども会計参与に選任されることで商法上の責任を負うことになるので、制度がどの程度普及するかは未知数である。
しかし、江頭教授によれば、普及の鍵を握るのは金融機関の対応であるとされる。すなわち、会計参与を選任した会社に対して金融機関が融資の審査などで何らかの優遇的取り扱いをすることになれば相当に普及することが予想されると言われる。
結局、会計参与は任意の機関であるので当初はあまり利用されないかも知れない。けれども、中小企業の経営においては取引銀行との関係を良好に保つことが必要なので、会社経営者にとっては会計参与の選任によるメリット、デメリット(コスト増など)を考慮して対処しなければならないものと思われる。